世界陸上でアスリートが認める米女性記者 敗れた100m王者も心を開く「メディア側の姿勢」
ブダペスト世界陸上は27日(日本時間28日)、9日間の熱戦に幕を閉じた。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けてきた。
ブダペスト世界陸上連載「陸上界の真珠たち」第22回
ブダペスト世界陸上は27日(日本時間28日)、9日間の熱戦に幕を閉じた。「ドナウの真珠」と呼ばれる美しい街並みを誇るブダペスト。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「陸上界の真珠たち」を届けてきた。
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第22回は、取材エリアで異彩を放つ米国のフリーランスジャーナリスト、ティアラ・ウィリアムズさん。他のメディアの取材を避けていた選手も、彼女の質問には喜んで答える。その様子は、伝説のマイケル・ジョンソン氏(米国)も絶賛するほどだ。どうやって信頼を勝ち得ているのか。トップアスリートの心を開く独自のアプローチ方法によって、スポーツの魅力を届けていた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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取材エリアの一角に、通りかかる選手たちが次々と止まるスポットがある。三脚にセットされたカメラの前でマイクを持つのが24歳のウィリアムズさん。愛称は「Tee」。YouTubeやインスタグラム、X(旧ツイッター)などで「Real Talk with Tee」という名義で選手のインタビュー動画を投稿しているフリーランスのジャーナリストだ。
サングラスを頭に乗せ、手には携帯扇風機。異彩を放つ彼女の姿を見つけると、喜んで手を振る選手もいる。大会通算10個の金メダルを獲得してきた女子短距離のシェリーアン・フレイザープライス(ジャマイカ)もその一人。ウィリアムズさんの扇風機を借り、涼みながらインタビューに答える動画は、X上で約30万回再生されている。
短距離界のレジェンドも一目置く。フレッド・カーリー(米国)が男子100メートル準決勝で敗退し、連覇を逃した時のこと。世界陸上8個、五輪4個の金メダルを誇るジョンソン氏さえもウィリアムズさんの取材する姿を絶賛した。ウィリアムズさんの動画を引用し、自身のXでこうつづっている。
「フレッドは昨夜、メディアに話したがらなかった。同じ質問を3度聞かれた後、それが不幸にもNBCで映されてしまった。しかし、彼の信頼と尊敬を得た人を通して、彼は喜んで自身の気持ちと考えを共有してくれている。ありがとう、Tee」
陸上界の重鎮も認める気鋭のジャーナリスト。彼女はどのようにしてアスリートの信頼を勝ち取り、心を開かせているのか。プレスルームで直撃した。