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廃部を独自のシステムで乗り越える部活運営 米国で存続のケースがある「自己資金型」の実例とは

筆者の息子が通っていた公立学校の例

 チャリティくじは「50・50ラッフル」と呼ばれており、アメリカのチャリティでよく使われているものだ。まず、運動部を支援する人に、このくじを買ってもらう。くじの売り上げの半額を当選者に渡し、半額が運動部の運営資金にまわる仕組みである。

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 財源調達のパーティーでは、ボウリング場に協力してもらう。通常より安いレートでレーンを借りて、参加者には定価の入場料を支払ってもらい、その差額を運動部の資金にまわす。また、このようなパーティーでも、地域の商店から物品や商品券を寄贈してもらうことがある。チャリティくじと同じ方式で、参加者にくじを買ってもらい、当選者には商店からの寄贈品や商品券を渡す。くじの売り上げが運動部の資金になる。ホームでの試合は自校グラウンドで行われるので、試合を観戦する人たちに安く仕入れた飲食品を定価や、定価をやや上回る値段で販売する。

 筆者の息子は高校時代にサッカー部とアイスホッケー部に入っていた。この公立学校は、運動部参加者は、受益者負担として年間350ドル(約5万円)を支払うシステムだった。1種目でも、3種目でも参加費は同じだ。低所得で昼食代の減免措置を受けている家庭には、運動部の参加費も免除される。

 サッカー部は350ドルの支払いと学区からの運動予算で、活動に必要な支出(試合に必要な費用、試合会場までのバス、ユニホーム、用具、審判費、コーチへの手当等)をまかなっていた。しかし、アイスホッケー部は、市が持っているアイスリンクを使用することから、350ドルの支払いは免除されるかわりに、アイスリンク料金はアイスホッケー部が負担した。端的にいうと保護者負担だ。コーチ1人分の指導報酬と、州の高校体育協会主催の公式戦出場のためのスクールバスは学区の運動部予算から支払われていたので、部分的な自己資金の運動部であったといえる。このアイスホッケー部も、ラクロス部と同じように各家庭の負担を抑えるための資金調達イベントを行った。

 ここまで読んでいただいた方は薄々感じられたのではないだろうか。自己資金型の運動部は、保護者が金銭的負担をできること、なおかつ、資金調達イベントや寄付のお願いをマネジメントできるかがキーになる。これを引き受けて、実践できる人たちがいるから、自己資金運営が成り立っているといえるだろう。保護者の負担を減らすために、寄付を募るにしても、お願いできそうな人が生徒や保護者のまわりにいるか、経済的余裕のある人がいるかどうかに影響される面もある。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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