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廃部を独自のシステムで乗り越える部活運営 米国で存続のケースがある「自己資金型」の実例とは

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「米国の自己資金による運動部活動」について。

今回のテーマは「スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響」について(画像はイメージです)【写真:ロイター】
今回のテーマは「スポーツ賭博が子どものスポーツに与える影響」について(画像はイメージです)【写真:ロイター】

連載「Sports From USA」―今回は「米国の自己資金による運動部活動」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「米国の自己資金による運動部活動」について。

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 アメリカの学校運動部の主な財源は、学区から割り当てられる教育予算だ。その教育予算は住民の納める税金と州や連邦政府からの補助金で成り立っている。

 しかし、税収が落ち込むと公教育に使えるお金は減り、課外活動に割り当てられるお金も減る。運動部予算の財源が削減されたときには、施設のメンテナンス、用具、ユニホームの購入を先送りしたり、受益者負担として参加費を徴収したり、寄付やスポンサーを募るなどが一般的な対応策だ。それでも、お金が足りない場合は、運動部は縮小(例えば1軍チームだけを残す)や廃部の危機に直面する。

 廃部の危機を乗り越えるためにSelf-Funded(自己資金)に切り替えて、運動部を存続しているケースがある。文字通り、学区からの予算ではなく、運動部でお金を集めているのだ。廃部の危機に面した部だけでなく、新しい運動部を作りたいが予算をつけてもらえないときや、他の運動部と比較して施設や用具などにお金がかかる種目でも自己資金運営をしていることがある。財源の観点からは外部のチームとあまり変わらないといえるが、それでも、学校の運動部の規則下で活動し、各州の高校体育協会や連盟主催の公式戦に出場している。

 運動部の自己資金による運営は、金銭、労力ともに保護者の担う部分が大きい。

 ミシガン州デトロイト郊外のある高校では、ラクロス部が自己資金で運営されている。自己資金でまかなっているものは、コーチ報酬、用具購入や審判報酬、ユニホームなどの試合に必要な費用だ。選手1人あたり500ドル(約7万1000円)を自己負担している。また、同時にこの自己負担を減らすための財源集め(fundraising)も行っている。主な取り組みとしては、チャリティくじ、ボウリングによる財源調達パーティー、売店での飲食品販売だ。こういった取り組みによって、自己負担を抑え、どうしても支払えない家庭の負担を免除するなどしている。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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