[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

身長168cmの不利を覆せるか フェンシング19歳新鋭、飯村一輝が磨く「一瞬で距離ゼロ」の技術

パリ五輪のステージに立つことが「最低限のライン」

 すべてが上手く進んできたわけではない。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 フェンシングでは、2023年4月3日から2024年4月1日までの期間を「オリンピック出場権獲得レース」とし、その間に行われる対象大会で獲得したポイントによるランキングが代表選考において最も重要になる。

 飯村にとっての最初の大会は5月初旬のメキシコでのワールドカップだったが、ここで思うような成績をあげられなかった。

「もう、どん底だったんです。変に自分の中で、オリンピックレースの初戦ということを意識しすぎて縮まっちゃっていたところがあったかなと思います」

 でも、こう語る。

「これ以上は落ちないだろうという経験をしたので、また上がるだけです。だから、小学校から培われてきたチャレンジャー精神みたいなものが、今になって生きてきたのかなと思っています」

 言葉の通り、続く上海でのグランプリで成績を上げると、アジア選手権でも格上とされるカロンから勝利を得た。

「培ってきた土台なり地力を確認できたら」と抱負を語っていた世界選手権を経て、視野にあるのは1年後の舞台だ。

「パリまで1年という短い中で自分が何をやるべきか、パリであのステージに立った時に後悔をしないように練習を積んでいきたいと思っています。まずあのステージに立つことを最低限のラインに引いておいて、どれだけあそこで飛躍できるかというのはパリまでの間に培う力によるものなのかなと思います」

 目指すのはメダルの獲得。そこには人生を見据えての思いもあった。

■飯村 一輝(いいむら・かずき)

 2003年12月27日生まれ。京都府生まれ。五輪銀メダリストの太田雄貴を指導した父・栄彦氏の影響を受け、小学校からフェンシングを始める。15歳で男子フルーレの日本代表に初選出されるなど頭角を現すと、22年4月の世界ジュニア選手権で金メダルを獲得。今年7月にミラノで行われた世界選手権では男子フルーレ団体の一員として史上初の金メダル獲得に貢献した。慶應義塾大学総合政策学部2年。妹の彩乃も女子フルーレの日本代表選手。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

1 2 3

松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集