守った母との約束「大学には行く」 筑波大進学で両立を実現、なでしこ熊谷紗希は足跡を自信に
熊谷紗希が兄の影響でサッカーを本格的に始めたのは小学3年生の時。1~2年次はクラブに所属する術がなく、周りの男子に混ざって休み時間や放課後にボールを蹴るしかなかった。
スポーツ少年団唯一の女子選手だった小学時代「私が一番足が速かった」
熊谷紗希が兄の影響でサッカーを本格的に始めたのは小学3年生の時。1~2年次はクラブに所属する術がなく、周りの男子に混ざって休み時間や放課後にボールを蹴るしかなかった。
おままごとやお姫様の人形に興味を抱いた記憶はない。
【前編】先輩から学んだ代表主将の姿 導き出した“私らしい”キャプテンシー / 女子サッカー 熊谷紗希選手インタビュー(GROWINGへ)
【後編】文武両道を後押しした母との約束 男子とともに築いたサッカーの基礎 / 女子サッカー 熊谷紗希選手インタビュー(GROWINGへ)
「元気で活発な子どもだったと思います。家の中で遊ぶよりも、とにかく外で走り回るタイプでした。あとは兄がミニ四駆で遊んでいたら、私も一緒になって遊んでいました。学校が終わって帰宅してランドセルを投げたら、ボールを持ってグラウンドに行った記憶ばかりです」
いつも大粒の汗を流しているのが熊谷少女の幼少期だ。小学3年生になると真駒内南サッカースポーツ少年団の一員に。唯一の女子として男子に混ざってプレーした。
10歳前後といえば、発育は女子のほうが進んでいるケースも珍しくない。そのため身体的な部分では苦労しなかった。
「小学生の間は私が一番、足が速かったです。相手チームの中で『あのチームには女子がいるらしい』と噂になったこともあります。でも、私は髪も短かったので、周りにいた髪の長い男子が『あのコじゃない?』と間違われていて。違うんだけどなーって(笑)」
中学生になると、男子に混ざっての部活動だけでなく、社会人サッカーというフィールドも掛け持つ。放課後の15時から17時まで部活動に打ち込み、電車に乗って移動して、ナイター照明の下で大人顔向けのプレーを披露する。
サッカーという共通語さえあれば、臆することなく複数の世界に飛び込めた。ぶち当たった壁をいかにして乗り越えるかを常に考える学生時代を過ごし、それが彼女のサッカー観の原点にもなっている。