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「めちゃめちゃきつい」減量生活 柔道女子48kg級の角田夏実、階級変更で直面した“4kg差”の壁

世界選手権決勝でブクリ(フランス)を巴投げで破り3連覇。試行錯誤の末に最適な減量法を見つけたことも支えになった【写真:Getty Images】
世界選手権決勝でブクリ(フランス)を巴投げで破り3連覇。試行錯誤の末に最適な減量法を見つけたことも支えになった【写真:Getty Images】

「そんなにきつくなかった」減量が大きく変化

ただ、角田は女子の軽量級では身長が高い部類に入る。

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「今は162センチくらいあります。なんだかまだ伸びていて、毎年2、3ミリずつ伸びています。最初は誤差かなと思ったんですけど、毎年そうなので(笑)」

 162センチで48キロ級であるのは、筋肉量なども考えるとかなり絞るイメージがある。角田も、52キロ級では「そんなにきつくなかった」減量が、階級を下げると大きく変化したという。

「48キロ級にしたらめちゃめちゃきついです。なんでこんなきついことをしているんだろうと思うんですけど。普段、練習している時は53キロとか54キロ、今はオフなのでもっとあります」

 そこから大会に向けて、どのように減量していくのか。

「だいたい、3週間ぐらいで落としていきます。運動量もけっこう増えますね。特に有酸素運動を増やしていきます。やり方は勉強してというより、やっていく中でつかんでいった感じです。大会の1週間前くらいには50キロほどにしておいて、そこからあと2キロは2日くらい水を抜いていって落とします。

 水抜きというのは、運動してカロリーを消費するとか水を飲まないというよりも、お風呂で水を出すようなものです。1キロ減らして500グラム飲んで寝て、朝起きて500グラム減っていたら朝ご飯を食べて、と水分調節でやっています。その前の段階は食事も落としていったり、食べ物をちょっとヘルシーなものに変えていきます」

 試行錯誤してペースをつかんでいったことは、次の言葉にも表れている。

「最初の大会の時はビビって、1か月半前ぐらいから落としました。減量自体は問題なくクリアできたけれど、そうなると筋肉の量もかなり落ちちゃうんですね。試合でも力が入らなかったり、その後リカバリーしても全然体重が戻らなくて。今はリカバリーするとしっかり戻るので、大会前と表彰式の時では顔とかだいぶ違うと思います(笑)」

 選手は体重を測定してクリアした後、栄養補給に努める。試合と試合の合間もそうだ。だから大会が終わった段階では、相応に体重を戻している。見た目にも変化が表れる選手も少なくない。

「でもその時は、大会の後も1か月くらい戻らなくて、50キロちょっとぐらいになっていました。体力面でも、自分が軽い感じ、ふわふわ浮いている感じがあって」

 体重管理と、コンディショニングの難しさがそこにあった。

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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