女子ゴルフ界で語り継がれる片手チップイン 岩井明愛、頭の中の「こんな感じ」を体現するセンス
「頭で『こんな感じで打ちたい』とイメージしたら、できてしまう」
永井さんは、岩井姉妹が小2の頃から指導している。当初から、明愛は「教えたことがすぐにできる子」で、千怜は「努力してできるタイプ」だったという。
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「ちーちゃん(千怜)も高い運動能力を持っていますが、あきちゃんは特別でした。片手打ちは左手の方が難しいのですが、それも完璧にできます。頭で『こんな感じで打ちたい』とイメージしたら、できてしまう。それがあきちゃん。なかなかいないタイプです」
運動能力の高さはゴルフ以外でも証明されている。幼い頃からゴルフ、陸上競技を並行して続ける中、明愛は小6で地元サッカーチームに入り、右サイドバックとして活躍。中学でも続けて、日本代表の「なでしこジャパン」を目指すことも本気で考えた。その後、サッカーからは離れているが、シューズは持ち続けて時間があれば、自在のリフティングで“技”を披露している。また、昨季終了後のオフには千怜、弟・光太(日大1年)とともに所属先であるHondaの野球部で合同トレーニング。力強いバッティング、巧みなグラブさばきも映像に残っている。
かつて少年野球で茨城・水戸市選抜に入り、米国遠征の経験がある父・雄士さんも、明愛について「確かに何でも器用にやれます」と証言。片手アプローチについては「どうしてあれが思いついたのか、僕も聞いてみたいです」と言い、目を細めた。
その後、千怜もバーディーを重ねて、10番パー4では、ともに1つ伸ばした。姉妹で追い上げ態勢。だが、山下はボギーをたたかず、要所を決める“横綱相撲”で逃げ切った。結果が出ると、雄士さんは言った。
「(姉妹で)山下さんの引き立て役になりました。いや~、悔しいな」
それでも、明愛が歴史に残るミラクルショットを見せ、千怜は4連続バーディーでチャージ。観客を大いに喜ばせた。「父の日」に実現したツアー史上初の姉妹での最終日最終組。雄士さんは2人を労った後に「やっぱり、いろいろあって楽しかったです。最高です」と言い直した。山下に勝てなかった悔しさを含め、雄士さんが生涯忘れられない「父の日」になった。
(THE ANSWER編集部)