WBC優勝の裏にあった栗山監督の苦悩 「迷惑かけた」選手たちに何度でも言う「ありがとうな!」
最後まで選手に感謝、源田には「迷惑かけた思いもある」
日本の「宝」と表現するトッププレーヤーに貴重な経験を積ませ、なおかつ無事に元の球団に返さなければならないプレッシャーもあった。今大会、西武の源田壮亮内野手が1次リーグ韓国戦の走塁中に右手小指を骨折。NPBでは開幕から治療に専念し、5月26日に1軍昇格した。
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「源田選手が復帰して嬉しかったし、逆に言えば迷惑かけたという思いもある」
通常のシーズンとは違い、前倒しでの調整を求めなければならなかった。チームで不動のレギュラーを張っている選手にも、大切な時期に十分な出場機会を与えられないこともあった。それでも「個人的な理由」を差し置いて貢献してくれた選手に、栗山監督は最後まで感謝の言葉を口にした。
「本当にありきたりだけれど、彼らに何度会っても『ありがとうな!』って言い続けてるんだろうなと。見たことない景色を選手に見せてもらった。優勝の景色って何だったの?って言われてもよくわからないけれど、勝ちきる時ってそういう時なんだろうなと。負ける時はいろんな要因が見えてくるけれど『それが最後まで分からないのは幸せですよね』と選手たちに言ってもらって。ありがとうなって。それだけです」
後任は未定。「全ての人たちが、自分のことではなく、日本野球のために必ず集結する。そこだけは信じている」。今後の目標については「いつも人が発想しないような大きなものを勝手にイメージしている。恥ずかしくて言えないけれど、あります。年齢的にもそんなに時間があるわけじゃないので、ちょっと焦りながらしっかりやりたい」と笑った。ヌートバー招集、決勝の大谷登板も実現するなど、前例にとらわれない栗山監督の次のステージも楽しみだ。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)