【パンパシ水泳】なぜ“元不登校スイマー”が日の丸を掴んだのか 23歳・砂間敬太、異端のキャリアとは
波乱万丈の23年「人生を後悔していない。不登校になったこともいい経験」
生活を一変させたのは高校入学だった。門を叩いた天理高は寮制だったのだ。「休めない状況。追い込まれました。追い込まれてしまったので、行くかって思って」。そんなきっかけで6年近くに及んだ不登校はあっさりと卒業。すると、一気にメキメキと頭角を現した。支えになったのが顧問の山本良介先生だった。
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「僕の頼りというか、心の支えになっていて、今でもずっと。見た目は怖いんですけど、すごく優しくて、話も聞いてくれて、適格なアドバイスもくれるので、すごく頼りにしています。僕は結構気分のムラが激しい方なので、落ちた時に『もう水泳やりたくない』とか話をしたこともあるんですが、そういう相談に乗ってくれています」
だからこそ4月の日本選手権で初代表を射止めた時にも、誰よりも喜んでくれたという。弱冠23歳にして、波乱万丈を感じさせる人生。しかし、本人は意に介すことがない。
「本当に僕自身、人生を後悔していないので。不登校になったこともいい経験だし、野球をやっていたことも、水泳に復活したこともいい経験。すべてが自分のプラスになっていると考えているので、すごく今までの人生が楽しかった。その時に(学校に)戻っておけばと思われるかもしれないけど、今まで生きてきた人生に満足しているので、これからも満足する生活を続けたいです」
「満足する生活」を実現する術はもう、水泳しかない。「萩野選手、瀬戸選手に勝ってオリンピックで金メダルを獲ることが昔から目標。それを実現したいなって思います」。自身の強みを「前半からビビらずにいけることじゃないですか」と言ってのける強心臓は、今大会の目標も「やっぱりここは大きく金メダルでいきます」と言って不敵に笑った。
ただ、恩返しをしたい人がいる。「もしメダルを獲ったら誰にどんな風に伝えたい」と問うと、こんな言葉が返ってきた。
「やっぱり親ですね。今まで支えてくれているので、金メダルを獲ってかけてあげたいです」
良かったことも悪かったことも人生の糧。今まで支えてくれた人への感謝を胸に、初めて日の丸を背負う22歳が世界に挑む。
(明日8日の第21回は大橋悠依が登場)
◇パンパシ水泳、テレビ朝日系列で連日中継 パンパシ水泳は8月9日に開幕し、テレビ朝日系列では最終日まで4夜連続ゴールデンタイムで放送(9、10日は一部地域除く)。
(THE ANSWER編集部)