初来日で「日本人の親切に触れた」 メキシコ右腕をNPB挑戦へ導いた、元DeNA荒波翔との友情
オリックスで日本シリーズにも登板「チャンスがあればもう一度日本で…」
バルガスは東京五輪の日本戦に4番手で登板し、6回の1イニングを完璧に抑えた。特に東京ヤクルトスワローズの主砲、村上宗隆から空振り三振を奪った、大きな落差の縦スライダーは評価を高めた。8月下旬、パ・リーグで優勝争いをしていたオリックスへの入団が決定。レギュラーシーズン中に左脇腹を痛めて一時戦列を離れたものの、クライマックスシリーズのファイナルシリーズで好救援をし、ヤクルトとの日本シリーズにも登板した。
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家族を呼び寄せて臨んだ2シーズン目は、先発ローテーション入りして開幕を迎えたが、初登板だった3月の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で5回4失点。中継ぎでも評価を得られず、5月に登録抹消された。2軍暮らしが続き、オフにメキシコへ帰国して、古巣のモンテレイに戻った。
「日本への挑戦はとてもいい経験だった。独立リーグは大変だったが、その逆境が自分の野球への愛を再確認させてくれた。みんなが『日本は細かい野球だ』と強調するが、それだけとは思わない。凄いボールを投げる投手やスラッガーがたくさんいて、WBCで世界の人がその真実を目の当たりにしたと思う」
バルガスは現地時間4月24日、先発投手として今季のメキシカンリーグで初登板し、6回途中まで6奪三振、無失点の好投で勝ち投手となった。
「もしチャンスがあれば日本でもう一度プレーしたい。子供も大阪で友達が大勢できて『帰りたい』と言っているし、妻は『私はもう大阪人』と言って街も気に入っている。そのためにもまずは、ここメキシコで結果を出すことに集中している」
(松本 行弘 / Yukihiro Matsumoto)