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国際派サッカー選手が提案する異文化交流イベント 小学生に伝える「活躍の場は日本だけじゃない」

海外でプレーを重ね、出会いと繋がりの大切さを知ったという文選手(後列右)【写真:本人提供】
海外でプレーを重ね、出会いと繋がりの大切さを知ったという文選手(後列右)【写真:本人提供】

アイデンティティに後押しされ、世界を舞台に踏み出したプロの道

 講義に出席し、仲間の受講生やメンターらとディスカッションを重ねる作業はどれも新鮮で、刺激の多い日々を過ごしている。自分が情熱を注ぐ「サッカー」、海外で感じた「出会い」と「繋がり」の大切さ、グローバルな視点の中で強さを増した自分の「アイデンティティ」、そして未来ある「子どもたち」に働きかけたい想い。こうしたキーワードが組み合わさって生まれたのが、U-12の子どもを対象にしたサッカー大会「One Asia」というグランドデザインだった。

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 在日韓国人3世として大阪で生まれ育った文選手は、時に日本では韓国人扱いをされ、時に韓国では日本人扱いをされる経験をし、「じゃあ自分たちは一体なんやねん?」とアイデンティティが揺らぎ、戸惑った時期があったという。だが、大学生の時に参加した韓国での全国体育大会が大きなターニングポイントになった。

 毎年10月に開催される全国体育大会は、韓国内に居住する代表選手団に加え、世界各国に暮らす韓国人選手団が約2万人規模で参加する大イベント。在日代表団の一員として参加した文選手は、朝鮮学校に通った人、日本の学校に通った人、在日韓国人の中でも様々な境遇があることを知った。その中でも、サッカー代表監督からの言葉が景色を一変させた。

「自分たちは日本人でもないし、韓国人でもない。唯一無二の在日韓国人なんだ。そう言ってくれたんです。誰でもない、在日韓国人なんだというアイデンティティを明確にしてくれたおかげで、自分の中でくすぶっていた疑問に対して一気に正解が導き出された想いがしました」

 自分のアイデンティティが明確になり「自信が持てるようになった」という文選手は、大学卒業後にタイへ渡り、プロサッカー選手の道を模索した。言葉も文化も違う国に飛び込み、サッカー選手としての自分を売り込む日々。辛い思い、悔しい思いも数多く味わったが、グッと堪えて踏ん張る力を与えてくれたのはアイデンティティに裏打ちされた自信だった。

 報われない努力はない。そう思わせてくれる出会いもあった。タイで知り合ったある家族は住む場所と食事を提供し、チーム探しも手伝ってくれた。

「僕を心の底から支えてくれた。この家族との出会い、ここから始まった繋がりが、今の僕を作ってくれました。その後、プレーした台湾でもいい出会いから繋がりが生まれた。海外に飛び出したからこそ得た経験、刺激を、もしもっと若いうちに味わえたらどうなっていたんだろう。そう考えた時、未来ある子どもたちが世界と触れるきっかけを、僕が提供すればいいんだと気付きました」

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