国際派サッカー選手が提案する異文化交流イベント 小学生に伝える「活躍の場は日本だけじゃない」
サッカーを通じて、子どもたちにグローバルな「出会い」と「繋がり」を提供したいと考える人がいる。大学を卒業以来、タイ、ドイツ、日本、台湾、韓国でプロサッカー選手としてプレーする文泰樹(ムン・テス)選手だ。
アスリート対象の学び舎「A-MAP」3期生のピッチ大会でMVPに輝いた文泰樹選手
サッカーを通じて、子どもたちにグローバルな「出会い」と「繋がり」を提供したいと考える人がいる。大学を卒業以来、タイ、ドイツ、日本、台湾、韓国でプロサッカー選手としてプレーする文泰樹(ムン・テス)選手だ。
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エージェントもつけず、自力で交渉しながらプロの道を切り拓いてきた文選手は、行く先々で現地の人々との交流を通じて自身を取り巻く世界や価値観、人生における選択肢が広がる楽しさを実感したという。そこで、12歳以下の子どもたちを対象としたサッカー国際カップ「One Asia」を開催し、感受性豊かな子どもたちに“世界”との接点を提供するプランを立案。「自競技の5年後に向けたグランドデザイン(戦略)を考える」というテーマで実施されるピッチ大会でMVPを受賞した。
このピッチ大会は、現役・元アスリートを対象とした学び舎「A-MAP(Athlete Mindset Apollo Program)」での重要なイベント。アスリートとして身につけた価値ある資質を社会に還元するため、受講者は各界で活躍する人々の講義を受けたり、受講者でディスカッションをしたり、提携するビジネス・ブレークスルー大学の授業を受講したり、10か月間のプログラムでスポーツの現場では得られない経験を重ねながら、自分が持つ価値を社会の課題解決に繋ぐ方法を模索する。
3期生として参加する文選手にA-MAPを紹介したのは、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪でプレーした元ラグビー選手の李智栄さんだ。高校の同級生でもある2人は卒業後も折に触れ、食事をする間柄。昨年、以前にも増して明確な目標を持って前進する李さんに話を聞いてみると、A-MAP2期生として学びを深めていることを知り、「なるほど。こういうことをしていたから、李くんは輝いて見えたんだな」と納得したという。
ちょうどこの頃、文選手もアスリートのセカンドキャリアについて考え始めていた。
「大学を卒業して、社会にも出ずにサッカーを続ける中で、最初の頃は競技に集中しようという感覚でした。それが変わったのが台湾でプレーした2020年頃。自分が20代後半に差し掛かったこと、友人たちが色々な挑戦を始めたこともあり、サッカーだけじゃダメだと考えるようになったんです。そこから現役を辞めた後に向けた準備・勉強のために、練習以外の時間を使うべきだと考え、Tシャツのブランドを立ち上げたりもしました」
自分は他の誰とも違う唯一無二の経験をしてきた自負がある。だが同時に、自分は何をしたいのか、自分には何ができるのか、はっきりとした答えが見つからない。そこで李さんの勧めもあり、自分が提供できる価値を探り、将来のプランを具体化するためにA-MAPの門を叩いた。