女子ゴルフ双子V・岩井姉妹を支えた「地元練習場」の62歳 小3から知る2人の「優勝争い」を予言
「うまい選手」だった明愛に出始めた「強さ」とは
確かに明愛の運動能力はずば抜けている。高校に入るまでは陸上競技とサッカーでも将来を嘱望され、リフティングは今でも自在にできる。ゴルフでも1つ1つプレーの評価は高く、永井さんは「千怜=強い選手」「明愛=うまい選手」と分析。だが、今季は明愛にも「強さ」が出始めている。課題にしていたパットはオフの間に重点的に練習。永井さんは「最小限のストロークで最大限の転がりを意識してみては」とアドバイスしたと明かす。
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「バックスイングも小さく、フォローはインパクトから少し出るくらいのイメージです。これでしっかりと芯でヒットできれば、ボールはいい転がりで伸びていきます。フォローが小さい分、カップを大きくオーバーすることもありません。今、調子のいいプロの多くはこのパッティングスタイルです」
地道な努力でこれを会得しつつある明愛は、今大会3日間で3パットは1度だけ。初日の23パットは全体1位だった。また、ドライバーショットのスイングは8割程度の力に見えるが、11番パー4で全体4位の250ヤードを記録。強いフォローのホールでは300ヤード近い飛距離を稼いでいた。永井さんは、これにも喜んだ。
「『何でそのスイングなのに飛ぶの』と思われるのが、私の理想だったので、2人ともそうなってくれてうれしいです。ただ、そろってここまで来たのは、彼女たちに才能があって切磋琢磨をしてきたからです。ちーちゃんは今、『強くなってきた明愛に勝ちたい』と燃えているでしょうし、2人が目標にしている『姉妹での優勝争い』は、近いうちに実現するように感じています」
2021年6月、姉妹は最終プロテストに一発合格。父・雄士さんは、2人を育成してくれた感謝を込め、永井さんに「これを機にコーチ契約をしていだけませんか」と伝えたが、永井さんは「私はここ(練習場)での仕事がありますし、アドバイスを求められたら、気付いたことを伝える。それでいいと思っています」と断っている。ツアーでの活躍は現場で見たいだろうだが、自分の仕事を全うするのが永井さんの信条。今後も練習場から姉妹を見守っていく。
(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)