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南野拓実は「綺麗な発音でドイツ語を話す」 欧州挑戦と語学力、モラス雅輝が選手に求める覚悟

16歳でドイツへ留学し、欧州を拠点にキャリアを築いてきたモラス雅輝氏(右から2人目)。語学力の大切さを身をもって体験している【写真:SKNザンクト・ペルテン】
16歳でドイツへ留学し、欧州を拠点にキャリアを築いてきたモラス雅輝氏(右から2人目)。語学力の大切さを身をもって体験している【写真:SKNザンクト・ペルテン】

18歳でJか欧州か「肝心なのはクラブの考え方や体制」

 最近はU-19日本代表で、全国高校サッカー選手権でベスト4に進んだ神村学園の福田師王が、ボルシアMGと契約をして話題を集めたように、高校年代からJリーグを経由せずに直接欧州へ渡る選手が目立つようになった。

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「Jリーグで基礎を作ってから行くべきだという考え方があるのは理解できます。しかし、例えばラルフ・ラングニック(現オーストリア代表監督/ホッフェンハイムやRBライプツィヒなどで独特のプレッシング理論を展開)は『なるべく若いうちに、オーストリアのようにインテンシティーの高いリーグに来たほうが良い。早い段階で新しく学ぶのと、母国の習慣に馴染んでから学び直すのでは、全然吸収のスピードが違う』と言っています」

 実際、オーストリアを経由してトップスターへと上り詰めた例は少なくない。U-17フランス代表の主将としてチームを欧州制覇に導いたダヨ・ウパメカノ(現バイエルン・ミュンヘン)は、2015年にザルツブルクと契約し、最初は業務提携先のリーフェリングでプレーをした奥川雅也(現ビーレフェルト)と同じ道を辿り、17年にドイツのライプツィヒへとステップアップした。セネガル代表のサディオ・マネ(現バイエルン)も、ザルツブルクでの2シーズンがプレミアリーグへの道を切り拓き、リバプールでの大ブレイクに繋がった。

「肝心なのは受け入れるクラブの考え方や体制なのだと思います。しっかりと選手のキャリアプランを提示し、それを実現していけるだけのサポートができるのか。18歳でJなのか欧州なのか。どちらが正解ということはない。ただしサッカー選手も、欧州へ仕事に行くわけです。ただボールを蹴るのが上手ければ、なんとかなるという考え方は捨てたほうが良い。早く欧州へ行きたいと願うなら、せめて英語の勉強くらいは頑張って欲しいですね」

 事実、英語ができないという理由で欧州進出の話が流れたケースは「多々ある」そうだ。

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モラス 雅輝

ザンクト・ペルテン テクニカルダイレクター 
1979年1月8日生まれ。東京都調布市出身。16歳でドイツへ単身留学、その後指導者の道へ進む。オーストリアサッカー協会のコーチングライセンスを保持し、男女のトップチームや育成年代を指導してきた。2008年途中から10年まで浦和レッズのコーチ、19年6月からはヴィッセル神戸コーチとなりクラブ史上初の天皇杯優勝を経験した。21年からは再びオーストリアに戻り、22年7月にザンクト・ペルテンのテクニカルダイレクターに就任した。

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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