「背伸びをしても、バレると格好よくない」 BMX世界王者・中村輪夢が求める自分らしさ
自転車歴は18年「乗っている時の方が、そのままの自分を表現できる」
大会前になると「人と被らないような走りにしよう」「自分しかやらない技はなんだろう」と本番での走りをイメージしながら、自分らしさや個性について考える。そのたびにたどり着くのが「ありのままでいいのかな」という思いだ。
「自転車に乗っている時も普段でも、意識して『こうなろう』とか演じてしまうと、それは自分ではない。等身大の自分がいいのかなと思うんですよね。背伸びをしても、それがバレると格好よくない。ありのままの自分でいるのが一番かなって思います」
自転車歴は18年。怪我などでやむを得ない場合を除き、ほぼ毎日自転車に乗り続けてきた。相棒であり、体の一部。「怪我で数か月乗れなかった時は、はよ乗りたいっていう気持ちしかなかった。ずっと乗れている時が幸せですね」と嬉しそうに目尻を下げる。
「僕はBMXに乗っている時の方が、そのまま自分を表現できると思っています。日本の人はやっぱり周りを気にしすぎるところがあるかなと感じることもあるんですけど、そこは気にせず、もっと自分のしたいこと、好きなことをできるようになったらいいんじゃないかなって。その方がもっと毎日が楽しくなると思うんです。もしやりたいことが見つからない人がいたら、ぜひBMXをやってほしいですね。刺激になると思うので(笑)」
自分が自分らしくいられる自転車に出会えた幸せを感じながら、今日も新しい技の完成に向けてペダルをこぎ続ける。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)