「背伸びをしても、バレると格好よくない」 BMX世界王者・中村輪夢が求める自分らしさ
自転車に乗り始めたのは3歳の時。父は元BMXライダーで、京都市内でBMXショップを営む。笑顔を浮かべて「気に入っています」という名前は、中村輪夢。自転車の部品「リム」に由来し、車輪と五輪から発想を得た漢字が当てられた。
東京五輪5位、2022年世界選手権優勝も「誰かと戦うわけじゃない」
自転車に乗り始めたのは3歳の時。父は元BMXライダーで、京都市内でBMXショップを営む。笑顔を浮かべて「気に入っています」という名前は、中村輪夢。自転車の部品「リム」に由来し、車輪と五輪から発想を得た漢字が当てられた。
【前編】抱き続ける挑戦者の気持ち BMX界の寵児が取り戻した“攻め”の姿勢 / BMXフリースタイル・パーク 中村輪夢選手インタビュー(GROWINGへ)
【後編】未来へ繋ぐBMXの心 若き天才ライダーが感謝する周囲のサポート / BMXフリースタイル・パーク 中村輪夢選手インタビュー(GROWINGへ)
「この名前やから絶対に結果を出したいっていう気持ちはあまりないですけど、まぁ、オトンがつけた名前なんで、逆に僕が結果を出して喜んでくれたらいいなって思います」
BMXフリースタイル・パークが新競技として採用された東京オリンピックに19歳で出場し、5位入賞。2022年のUCIアーバンサイクリング世界選手権では見事、優勝という結果に、喜ばない親はいないだろう。さらには「ずっと自転車を続けていてよかったなって思います」と言うのだから、これほど嬉しいことはない。
全日本BMXフリースタイル選手権は圧巻の4連覇中。世界を主戦場に名だたるトップライダーと鎬を削る中村は、その凄さを鼻に掛けることもなく、常に自然体のままの21歳だ。少し照れくさそうにしながらも父への感謝を素直に語る、そんな大人になったのは育った環境はもちろん、BMXを取り巻く環境によるところも大きい。
スケートボードやブレイキンと同じく、ストリートカルチャーに端を発するBMXフリースタイル。大会で順位を決める競技性は後から備わったもので、ライダーたちが何より大切にするのは自分にしかない「個性」だ。他人とは違う技や乗り方をすることが高く評価され、前人未到への挑戦がリスペクトを集める。その本質は競技スポーツとなっても変わらず。「僕たちは誰かと戦うわけじゃないんで」と中村は言う。
「もちろん、結果は出るので勝ち負けはつくんですけど、勝ち負けだけじゃなくて、そこに懸けてきた想いもある。大会でも自分の走りをジャッジが採点するだけ。ライダー同士はみんな、敵っていう感じはなくてリスペクトし合っている。ライダーがそれぞれベストを出せて、自分もベストを出せれば、それでみんな満足なんですよね」