レンズの向こうで力が戻った渡辺倫果の瞳 感じた日本フィギュアを支えるファンの存在
フィギュアスケートの世界選手権が22日、さいたまスーパーアリーナで開幕した。「THE ANSWER」はフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを連日掲載する。今回は女子ショートプログラム(SP)の渡辺倫果(TOKIOインカラミ・法大)。60.90点で15位となった演技冒頭、ミスがあった直後にスタンドの拍手で渡辺の瞳に力が戻った。
フォトグラファー・矢口亨のフィギュア世界選手権フォトコラム
フィギュアスケートの世界選手権が22日、さいたまスーパーアリーナで開幕した。「THE ANSWER」はフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを連日掲載する。今回は女子ショートプログラム(SP)の渡辺倫果(TOKIOインカラミ・法大)。60.90点で15位となった演技冒頭、ミスがあった直後にスタンドの拍手で渡辺の瞳に力が戻った。
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冒頭のトリプルアクセルを転倒。続く3回転ルッツは回転が抜けてしまった。
直後、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。渡辺を励ます拍手だった。レンズの向こうの渡辺の瞳に力が戻っていくのが分かった。後半のループ―トーループの連続3回転を決め、スピン、ステップは最高のレベル4をマークした。
さいたまスーパーアリーナのファンは渡辺のこれまでの道のりを知っている。トリプルアクセルを身につけ、昨年10月のグランプリ(GP)シリーズ・スケートカナダで、日本人2人目のGPデビュー戦V。初参戦の世界フィギュアでも、臆することなく大技に挑んだ。
失敗しても挑戦し、高みを目指すことに価値がある。スケーターと気持ちを共有できるファンの存在が日本のフィギュアスケートの強さを支えている。プログラムの最後まで強さを失わなかった渡辺の瞳に、そんなことを感じた。
■矢口 亨 / Toru Yaguchi
フォトグラファー。山形県上山市生まれ。上智大を経て02年に報知新聞社入社。12年ロンドン五輪、21年東京五輪、22年北京五輪などを取材。フィギュアスケートの撮影は19年の世界選手権(埼玉)から。今年2月に退社し、フリーに転身。著書に写真集「羽生結弦2019-2020」「羽生結弦2021-2022」など。
(矢口 亨 / Toru Yaguchi)