羽生とW表彰台 宇野の未来照らす「2.28点差」、己への挑戦で世界歴代2位
「完成系」の演技に込めた己への挑戦、平昌五輪へ未来照らす「2.28点差」
「このような結果が出たことはうれしい。ただ、自分の演技がベストを尽くしての優勝なら、心から喜べるけど、ショート、フリーともに良くなかったので、満足はできない」
常に羽生のライバル1番手として視線が注がれる。しかし、宇野にとって、戦うべきは羽生でも、ほかのライバルでもなく、自分自身だった。すべては自分の演技を完璧にこなすことから始まると理解している。
だからこそ、アジア大会から世界選手権に向け「跳べるジャンプを全部入れた完成系を見せたい。僕の中では跳べるジャンプに挑戦しないことは、どんな状況においてもない」と話し、並々ならぬ「自分への挑戦」に決意を込めていた。
あれから2か月、宇野はフィンランドの地で羽生と同じリンクに立った。それも、羽生が世界最高得点を叩き出した4番後。だが、アジアでの悔しさを晴らすように、羽生が「出てる、出てない」にかかわらず、内容だけを求め、己の演技をやり遂げた。その結果、自己最高であり世界歴代2位となる合計得点で「世界NO2」に結実した。
宇野にとって、満足する「2.28点差」ではないだろう。それでも、1年を切った平昌五輪へ未来を照らす、手応えの詰まった「2.28点差」にもなったはずだ。羽生が世界に脚光を浴びた裏で、日本人2人が描く未来も楽しみになる歴史的な一戦となった。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer