MLB現場で聞いた野球人気復興とWBCの未来 トラウトら参戦の米国は本気になったのか
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕。侍ジャパンに大谷翔平投手(エンゼルス)ら豪華メンバーが集結し、日本は大いに盛り上がっている。一方で、世界の野球に目を向ければ、2024年パリ五輪は競技から除外。予選の出場国は、209か国だったカタール・ワールドカップ(W杯)に対し、WBCは28か国に留まるなど、競技の普及・振興、国際化における課題も少なくない。
連載「ベースボールの現在地」#1、本場・米国が期待するWBCの役割
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕。侍ジャパンに大谷翔平投手(エンゼルス)ら豪華メンバーが集結し、日本は大いに盛り上がっている。一方で、世界の野球に目を向ければ、2024年パリ五輪は競技から除外。予選の出場国は、209か国だったカタール・ワールドカップ(W杯)に対し、WBCは28か国に留まるなど、競技の普及・振興、国際化における課題も少なくない。
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「THE ANSWER」ではWBC開催期間中「ベースボールの現在地」と題し、海外でプレー、普及活動してきた野球人の歩みや想いを連日発信。注目される数年に一度の機会だからこそ、世界の野球の今を知り、ともに未来を考えるきっかけを作る。第1回は本場・米国から。MLBでは新ルールも導入されるなど、野球復興への大きな動きがある。競技発展に重要な国際化へ、WBCにはどんな役割が期待されているのか。現場の声を聞いた。(取材・文=岡田 弘太郎)
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「ベースボールは米国のNational pastime(国民的娯楽)ではなくなったのか!?」
昨年4月にCNNテレビ(電子版)が大きく特集を組んだように、近年、米国での野球人気の低下が懸念されている。2021年に米紙ワシントン・ポストが行った調査によると、「観るのが最も好きなスポーツ」で野球と答えた大人の割合は11%で、アメリカン・フットボールの34%やバスケットボールに続いて3位だった。4位以下のサッカーとその他スポーツ(eスポーツ含む)にも7%と迫られている。
さらに、30歳以下に限れば、「野球を最も好き」と答えたのは7%の5位まで下がる。1位フットボール、2位バスケットボール、3位その他スポーツ、4位サッカーの順で、若い世代の関心低下が著しい。野球発祥の地で、長く国民に愛されてきたスポーツの地位が大きく揺らいでいるようだ。
大リーグでは、ファン離れを防ぐ目的で今季から新ルールが導入される。その一つがピッチクロック(投球間の時間制限)で、近年平均3時間を超えるようになった試合時間の短縮が大きなテーマ。このルールでは投手がボールを手にしてから走者がいない場合で15秒、走者がいる場合で20秒以内に投球動作に入る必要がある。さらに、投手がけん制をできる回数を2度に制限し、3度目でアウトにできない場合は自動的に走者に進塁を許すことになる。
実際、マイナーリーグではすでにこのルールが適応され、試合時間が前年度よりも26分短くなり、盗塁数も増加。加えてベースのサイズが大きくなったことで、盗塁数の増加が見込まれている。極端な守備シフトも制限することで、人気復活へのテーマに掲げる「More action on a field, more balls in play」の実現が期待されている。