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スポーツ部活動を学校にデリバリーする理由 放課後の課外活動格差を是正する試みとは

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活動をデリバリーする地域団体」について。

今回は「部活動をデリバリーする地域団体」について(画像はイメージです)【写真:Getty Images】
今回は「部活動をデリバリーする地域団体」について(画像はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―今回は「部活動をデリバリーする地域団体」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活動をデリバリーする地域団体」について。

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 今、日本では部活動の地域移行が進められているが、アメリカでは地域でのスポーツ活動を学校に「デリバリー」している例がある。

 その一例が、米サッカー財団による「サッカー・フォア・サクセス」というプログラムで、米国の都市部に住む低所得層の子どもたちを対象にした放課後のサッカー活動である。格差の大きい米国社会では、住んでいる学区や保護者の収入によって、子どもたちの課外活動機会にも差があり、低所得世帯の子どもは課外活動機会が十分に得られていないことが調査でわかっている。このプログラムは、こういった状況を補うことを目的している。

 米サッカー財団と提携する全米各地の約150の放課後活動を担う非営利団体とが、資金を集めて運営し、全米の約1500か所の学校等にサッカー活動を出前しているのである。同財団からは活動理念とともに活動のモデルも提供している。運営する非営利団体ごとに内容は異なるが、子どもたちには、ユニホームとボールを支給、1回1時間15分から30分程度の活動を週3回、年間24週というのが一般的な「サッカー・フォア・サクセス」のプログラムだ。子どもたちの参加費は無料である。

 このプログラムは、サッカーのエリート選手の養成を目的にはしていない。健康的な生活習慣、助言者やコーチとの信頼関係の構築、子どもだけでなく、その家族や地域社会にむけても、健康的な生活習慣を啓蒙することを目的にしている。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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