宮城教育大・畠山和也監督「本気の軟式野球」前編

　軟式野球の普及に取り組む若き指導者が、東北にいる。宮城教育大軟式野球部の監督を務める畠山和也氏（35歳）だ。就任10年目の昨年は、秋に36年ぶりの全国大会出場、そして全国初勝利を達成。監督としてチーム作りに勤しみつつ、東北地区大学軟式野球連盟理事長の立場で競技を普及するための活動にも精を出している。なぜ軟式野球を広めたいのか、軟式野球の存在意義とは――。畠山の思いに迫った。（取材・文＝川浪 康太郎）

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　秋田県出身の畠山が野球を始めたのは、小学生の頃。中学の軟式野球部を経て、高校は強豪・秋田経法大付（現・ノースアジア大明桜）の硬式野球部でプレーした。

　その後、東北福祉大に進み軟式野球部に入部。激しいポジション争いのなか、3年時には一塁手として全国大会の舞台に立った。「最終節で対戦する東北福祉大と東北学院大の試合以外はコールドゲームばかりだった」と振り返るように、当時の東北地区は、強豪高校の硬式野球部出身者が多く集まる「2強」が圧倒的な力を持っていたという。

　大学卒業後は宮城教育大の職員となり、25歳だった2013年からは軟式野球部の監督に就任。東北選抜の監督や大学軟式JAPANのコーチも務め、指導者として第一線に立ち続けてきた。現在は連盟理事長としても活動の幅を広げ、社会人チームとの交流試合や中学生を対象とした野球教室の開催を企画するなど、軟式野球に情熱を注ぐ日々を送っている。

「軟式球は硬式球と比べて軟らかく、軽いため、安全性は高くハードルは低い。誰でも気軽に始めることができる上に、始めるのが遅くても野球経験者を追い抜く可能性だってある」

　畠山に軟式野球の魅力を尋ねると、そんな答えが返ってきた。一見、軟式野球が簡単な競技であるようにも聞こえるが、そうではない。畠山は「ボールが特徴的な分、独特な戦い方があるため、それを追求すると面白い。戦術と駆け引きが重要な競技なので、ダイヤモンドの中で考えることが多い」と続ける。