「でも、まだアジア」 W杯決勝365日前、主将・熊谷紗希が語った“なでしこの現在地”
7月7日、七夕の夜、なでしこジャパンのキャプテンを務める熊谷紗季と再会した。2012年のロンドン五輪以来、実に6年ぶりだ。ちょうど1年後の2019年7月7日は、女子ワールドカップ(W杯)のフランス大会の決勝が行われる。ドイツ大会で優勝、カナダ大会では準優勝を経験した熊谷が挑む3度目のW杯。そこにつながる2018-19シーズンをどのような決意で迎えるのか。あの頃と変わらず天真爛漫で、“世界”に磨かれてたくましさを増した27歳のなでしこの心の内を聞いた。
6年ぶりに再会し、聞いたなでしこ主将の胸の内
7月7日、七夕の夜、なでしこジャパンのキャプテンを務める熊谷紗季と再会した。2012年のロンドン五輪以来、実に6年ぶりだ。
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その間、熊谷はドイツ、フランスに戦いの場を移し、UEFA女子チャンピオンズリーグでは史上初の3連覇を達成するなど世界最高峰の舞台を経験。なでしこジャパンでは不動のセンターバックとして、歓喜のときも屈辱のときも日の丸を背負い続けてきた。
ちょうど1年後の2019年7月7日は、女子ワールドカップ(W杯)のフランス大会の決勝が行われる。ドイツ大会で優勝、カナダ大会では準優勝を経験した熊谷が挑む3度目のW杯。そこにつながる2018-19シーズンをどのような決意で迎えるのか。あの頃と変わらず天真爛漫で、“世界”に磨かれてたくましさを増した27歳のなでしこの心の内を聞いた。
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4月にヨルダンで行われた女子アジアカップ(アジア杯)。大会2連覇を達成し、来年フランスで行われる女子W杯の出場権を勝ち取ったなでしこジャパンの主将・熊谷紗希は、チームメイトの輪の中で優勝トロフィーを高々と掲げ、喜びで顔を輝かせた。
「あー、やっと穫れたー。あー、やっと勝てたーって感じでしたね」
熊谷は安堵を含んだ声で、歓喜の瞬間を振り返った。
リオデジャネイロ五輪の出場権を逃し、高倉麻子監督のもと再スタートを切った新生なでしこジャパンは、若手選手を積極的に起用してチームづくりを進めたが、オーストラリア、アメリカ、ブラジルと日本が参加した、昨年7月の2017 Tournament of Nationsでは4か国中3位。同12月のE-1選手権では北朝鮮に敗れ、今年3月のアルガルベカップでは6位に終わるなど国際大会では苦戦を強いられた。
高倉監督就任から2年を要し、ようやく掴んだ初のタイトル。試合直後のインタビューで目を潤ませた熊谷からは、葛藤の日々が垣間見えた。
「新チームになって、最初からうまくいくとは思っていませんでしたが、結果が出てこないこともあって、このやり方であっているのかと(年齢が)上のメンバーで話し合ったりもしました。
今まで本当にすごい人たちに引っ張ってもらっていたんだとすごく感じましたし、チームってどうやって作っていくのだろうと試行錯誤してきました。(アジア杯で)何か特別なことをしたわけではないですが、選手同士がやりながら掴んでいって、大会を通してチームがひとつになり結果を出せたことは自信になりました」
しかし喜びや安堵と同時に、「でも、まだアジア」とすぐに気持ちを引き締めた。
「自分たちは世界レベルにいるわけではない。世界を相手に戦えるように、もっと成長しなければいけない。個としても戦えないといけないし、チームとしてももっと合わせていかなければいけない。そのことを、それぞれの選手がアジアで感じたと思います」