「ライバルでも結局みんな仲間」 スケボー五輪王者・堀米雄斗が貫く新技へのこだわり
堀米雄斗にはスケートボーダーとして一つ、こだわりがある。それは、出場する大会ごとに新しい技への挑戦をすることだ。
東京五輪でも新技成功「いつもやっている技で勝っても…」
堀米雄斗にはスケートボーダーとして一つ、こだわりがある。それは、出場する大会ごとに新しい技への挑戦をすることだ。
【前編】文化として根付く「リスペクト」 金メダリストも重視する「自分流」 / スケートボード 堀米雄斗選手インタビュー(GROWINGへ)
【後編】初代金メダリストが次世代に繋ぐサポートの輪「夢を持ってくれたら」 / スケートボード 堀米雄斗選手インタビュー(GROWINGへ)
最近の大会を見ても、栄えある初代金メダリストとなった東京オリンピックでは「ノーリーバックサイド270スイッチボードスライド」を決め、今年4月のX Games Chibaでは「ノーリーバックサイド180スイッチスミスグラインド」と「スイッチトレフリップリップスライド」という新技二つを披露して優勝。さらに、7月に米国フロリダ州で開催された世界最高峰プロツアーのSTREET LEAGUE SKATEBOARDING(SLS)第1戦では「ノーリーバックサイド180スイッチフロントスミス」を成功させ、頂点に立った。
「前までは勝ったらメッチャ嬉しいって感じだったのが、最近はどう勝つかを自分の中で大事にしています。いつもやっている技で勝っても、観ている人がつまらなくなってくると思うし、自分もつまらない。だから、新しい技を大会で決められたらすごく嬉しいし、勝った時ももっと喜べるなって」
スケートボードで最も高く評価されるのが「オリジナリティ」だ。他の誰とも違う、自分だけしかできない技やスタイルを持つことが、仲間からのリスペクトを集め、自身が求める「かっこよさ」にも繋がっていく。
もちろん、大会によってコースデザインは全く違う。コースビルダーが完璧に設計したスケートパークをどう攻略するか。ストックは「たくさんありますね」という新技のアイディアから、どれがコースにハマるのか、その取捨選択もまた、勝敗を左右するカギを握る。
大舞台で全てがパチッとハマった時の高揚感はたまらない。難易度の高い技でも涼しい表情を浮かべながら余裕の様子で決める堀米でも、東京オリンピックの決勝でベストトリック4本目に「ノーリーバックサイド270ノーズスライド」を決めた瞬間は両手を叩いて喜び、5本目をミスなく滑り終えると早川大輔コーチとたまらずハグ。そんな姿を、メダルを競うライバルたちも手放しで喜んでくれるのが、また嬉しい。
「スケートボードはライバルでも結局みんな仲間だし、ヤバイ技を決めたら素直にすごいなって思うし、お互いにリスペクトがあるスポーツなので」