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W杯でも活躍、世界的名手の原点にある共通点 並外れた“サッカー愛”が輝かせた才能

ラウールが人生初の代理人に言った言葉

 スペインの英雄的ゴールゲッターであるラウールの場合、いささか狂気を孕んでいた。日本で言う中学時代、練習後に毎回、コーチに執拗に頼み込み、個別練習でシュートトレーニングを欠かさなかった。また、サッカーを観察することにも熱心で、週末には朝から晩まであらゆる試合をはしごした。そこで得たものを練習で試し、自分流にアレンジしていった。

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「俺があんたを金持ちにしてやるよ」

 日本で言う高校生時代、初めてついた代理人にラウールは言ったという。そこまでの自信を積み上げ、野心を膨らませていたのだ。

 メッシもプロサッカー選手として活躍するために、どんな犠牲でも払った。13歳にして、アルゼンチンの故郷からスペイン・バルセロナに渡り、毎日のトレーニング後、成長促進剤を自ら注射する(成長ホルモンの分泌異常の症状があり、ホルモン剤を注入しないと、体が極端に小さいままだった)という過酷な日々を過ごしているが……。

「プロサッカー選手になるためだったら、なんてことはない」

 メッシは平然と言ってのけていた。

 プロで生き抜くには、タフな精神が必要である。少年時代から、常に「サッカー選手として選ばれる者にふさわしいか」を試される。たとえ試練を乗り越えても、次の試練から逃げたら、そこで脱落する――。生き馬の目を抜く世界だ。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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