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W杯でも活躍、世界的名手の原点にある共通点 並外れた“サッカー愛”が輝かせた才能

少年時代のC.ロナウドが胸に抱いた決意

 幼い頃からサッカーに接するという点では、例えば兄がサッカーをしていることは、弟にとっては大きなアドバンテージになるだろう。「ルーツ」でも、トッティ、デル・ピエロ、フアン・カルロス・バレロンなど多くが兄の影響を受けていた。クラブに入る前の段階、道端レベルでのサッカーだが、兄について4、5歳で年上に混ざることで、自然と技術を磨けたのだろう。

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 他にシャビ・アロンソ、シャビ・エルナンデス、リオネル・メッシなども兄の影響を受けている。こうした例は枚挙にいとまがない。プロサッカー選手を網羅した時、兄よりも弟のほうが多いことは事実だ。

 しかし、今はストリートサッカーの影響は限定的だろう。兄がいることがプロで成功する絶対条件では決してないし、兄でトップレベルの選手もいないわけではない。一人っ子だっている。

 結局は、本人次第だ。

 例えば、クリスティアーノ・ロナウドは兄を薬物依存症で亡くし、父親もアルコール依存症で亡くしている。学校が終わり、道端でボールを蹴っていたが、日が暮れて友人たちは家に帰っていってしまい、ロナウドもおんぼろ小屋に戻るのだが、家に明かりは灯っていない。坂道で一人ぼっちのままボールを蹴っていたという。坂だけに、蹴ったらボールは転がって戻ってきた。

「自分がサッカーで世界一になって、家族を一つにする」

 少年だったが、彼はすでにそう決意していた。サッカーだけは誰にも負けられなかった。だからこそ試合に負けると、半狂乱になって泣いて手が付けられなかったという。その激しい気性は、一般的な道徳観に当てはめたら好ましくないのだが、尋常ならざるサッカーへの熱さがあったからこそ、彼は突き抜けられたのかもしれない。

 サッカーが好き。

 繰り返すが、ボールを蹴って大成するには、それが肝になる。それよりも楽しいものを見つけてしまった者は、脱落するしかない。プロになる道は、甘くはないのだ。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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