母となった30歳本橋麻里 3度目の夢へ、敗戦アジア大会で芽生えた変化
結婚、出産…母として狙う五輪「もっともっと成長しないといけない」
ホスト国として迎えた今大会。選手村の同じホテルに日本選手団は泊まり、食事会場などで他競技の選手との交流も生まれ、五輪さながらの空気感で毎日を過ごした。なかでも、本橋は日本選手団の主将を務め、161センチの体に特別な責任感を負う中で、1年後に迫った五輪への思いが沸々とわき上がってきた。
「チームジャパンとして力をもらえた大会。やっぱり五輪に行きたいし、もっともっと成長しないといけないと思った」
19歳で初めて出場した06年トリノ五輪で7位入賞。愛らしいルックスで「マリリン」と呼ばれ、人気を博した本橋も2度の五輪を経験。チーム最年長の30歳となり、日本のカーリング界を牽引する立場に変わった。
12年に結婚し、15年に1児の母にもなった。昨年の世界選手権では男女の五輪、世界選手権を通じて初となる銀メダルを獲得する快挙を達成したが、出産明けの本橋は控え。もう一度、世界で輝くため――。10年のバンクーバー五輪は8位も14年のソチ五輪は代表決定戦で出場を逃しただけに、2大会ぶりの夢舞台には期するものがある。
今月の日本選手権では決勝で中部電力に敗れ、五輪出場権の獲得は9月の代表決定戦に持ち越しとなった。
「今年は長いシーズンだった。ラインアップも変わり、苦しんだシーズンにもなった。でも、確実に成長はしている。来年まで時間はある。まずはカーリング漬けの生活から一歩引いてから、また向き合って、トライアル、五輪につなげていきたい」
再び燃え上がった五輪への熱を保ちながら、今季の収穫と課題を生かし、3度目の五輪へ。本橋の視線は、まっすぐ前を見つめている。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer