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部活の地域移行で考える課題 不適切指導したらコーチ職はクビ、教員職としてはOKか

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活に地域移行で考える不適切指導の対応」について。

今回のテーマは「部活に地域移行で考える不適切指導の対応」(画像はイメージです)
今回のテーマは「部活に地域移行で考える不適切指導の対応」(画像はイメージです)

連載「Sports From USA」―今回は「部活に地域移行で考える不適切指導の対応」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「部活に地域移行で考える不適切指導の対応」について。

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 日本では地域移行を含む部活動改革が始まっている。部活動指導は教員の長時間労働の一員となっており、これを改善するために、部活動指導を教員の仕事から切り離していく動きが進んでいる。ただし、自ら部活動指導を希望する教員は、地域移行後も指導を続けられるようにもなっている。

 アメリカでは、課外活動指導は条件つきで教員の仕事とみなされている。しかし、実際には教員と学区教育委員会の労使協約により、課外活動指導は追加の仕事とし、教員としての本契約とは別の補助的な契約を結んでいるケースが多い。教員としての本契約に、課外活動指導の業務内容と報酬を定めた補助契約の「二階建て」になっているとイメージしてもらえばよいだろう。課外活動指導を希望する教員だけでは指導者が埋まらないときには、外部からの指導者が空きを埋めている。この外部の指導者の待遇も教員が結ぶ補助契約と同じ内容としているケースが一般的だ。

 それでは、アメリカで、教員であり、なおかつ、課外活動指導を引き受けている人が、どちらかの業務で契約違反や不適切行為をしたとき、もうひとつの仕事にまで影響が及ぶのだろうか。

 昨年、カリフォルニア州サンディエゴの高校でバスケットボール部の指導者がコーチ職から解雇された。地元メディアによると、この高校は白人生徒が多いのだという。このバスケットボール部がラテン系の生徒の多い高校チームと対戦したときに、一部の選手が人種差別と受け取られる行動をした。試合終了後、対戦相手にトルティーヤ・チップスを投げつけたのだ。このチップスはメキシコ料理と認識されていることもあり、人種差別とみなされた。コーチ自らがチップスを投げつけたわけではないが、試合終了時に対戦相手のコーチと言い争いになっていたこともあり、指導不十分とみなされ、コーチ職をクビになったのである。人種差別は許されない。このコーチは、学区内にある小学校の教員でもあった。コーチ職は解かれたが、小学校の教員はクビにならなかった。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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