被写体・大谷翔平に魅せられた米写真家 「放課後の野球少年」と重ねた二刀流の魅力
魅せられたチャンバースさん、お気に入りの大谷の写真2枚は
撮影で心がけているのは、写真を見る人と、被写体になった選手の距離を近づけられるものを撮ること。「オオタニに限らず、人物を撮影するときには、その人の感情が写真から伝わってくるような瞬間を撮るようにしています。写真を見る人がその選手のことを知っている人のように感じてほしいです」。変わらず持ち続けている信条だ。
数多く撮ってきた大谷の写真で、最もお気に入りの2枚を教えてもらった。
1枚目は、ネクストバッターズサークルでの写真。エンゼルスのチームカラー・赤が全体的にぼやけている。その中で鋭い視線を送る横顔の大谷。チャンバースさんは「彼の決意を表現し、彼の競争心を象徴するような赤がクリエイティブに捉えられている1枚」と説明してくれた。
もう1枚はマリナーズの本拠地・T-モバイルパークのブルペンで投げ込む大谷を頭上から撮影した写真。表情は収められていないが、「スローシャッター」で撮られた写真は躍動感に溢れる。「スピードとエレガンスさを表現しているので、とても気に入っています。何もない背景と色彩が、この写真を際立たせています」と“自賛”できる作品のようだ。
スポーツ現場での撮影は、予想不能な出来事を逃さず、正確にとらえなければならない。それが仕事の醍醐味でもあり、「盛り上がりの瞬間を捉えたときは、特別なものになります」と強調する。
撮影した写真はインスタグラムにも数多く投稿している。まるでその場にいるような感覚になる写真ばかり。今季投稿したMLBの写真ははほとんどが地元マリナーズ選手の印象的な姿だが、唯一“ライバル”として2度もしたのが、MLBの歴史を作り続ける大谷だった。
「彼の人柄は、気品があり、明るく、決断力があり、感謝の気持ちを持っていることが伝わってきます」
偉大なる二刀流の魅力をこう表現したチャンバースさん。大谷の姿から滲み出る人間性は、シャッター越しにでも伝わっていた。