1月3日早朝、芦ノ湖で箱根駅伝ランナー観察 実は“走りオタク”内川聖一の新たな挑戦
「今、願いが叶うなら、20歳くらいに戻ってこの考えで野球をやりたい」
しかし、探求心に満ちた思考になったのは1軍に定着し、2008年に首位打者を獲得した26歳の頃だったという。だから「今、願いが叶うなら、20歳くらいに戻ってこの考えで野球をやりたい」と笑う。もし、未来の首位打者にこの思考が加わっていたら――。
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「もっと凄くなっていたって言いたいですけどね(笑)。でも、人ってタイミングだと思うので。必要としている時に必要なものが落ちてくるから、それに食いつくんだと思う。なので、僕が今いろんなことに興味を持てるものがあるのは、今、自分にとって必要なものだと思うから。もし、若い時に教えてもらったらスルーしたかもしれない。『いいっすよ、普通に走れれば』って」
今なお現役を貫く者としての成長はもちろん、やがてこの経験を野球界に還元する時に必要なこと。
「野球を教える時にもっと知っておきたいことはいっぱいあります。野球の範囲すべてに興味があるので。例えば、打つ、投げるだけじゃなく、走るも教えられると自分の幅も広がる。中学生や高校生を教える時にボールが当たったらどう処置するのか、熱中症など不測の事態が起きた時にどう処置するのか、現状はなんとなくしか知らない。興味を持てば、本当にたくさん出てきます」
これほど野球界の未来に熱い想いを持つ内川。しかし、それは野球ばかりではない。スポーツそのものについても同じだという。
(後編へ続く)
【後編】夢が多様化する時代だからこそ伝えたい プロ野球・内川聖一が語るスポーツの魅力
◇ ◇ ◇
ラン検定を主催する「学舎」代表理事で、内川を2017年オフから指導してきたプロスプリントコーチの秋本真吾氏「ラン検定の難易度はかなり高いと言えるものです。スプリントから長距離まで、運動生理学から生活習慣まで、すべてエビデンスが取られ、正しいものだけをまとめて出題しています。普通のアスリートが受験したら専門用語など、問題の意図も分からないくらいかもしれません。しかし、内川選手は以前から一緒に走りについて学んできて、野球選手の平均よりはるかに知識は優れていると思います。認定された1級は最もランクが高く、今後それ自体が走りに対してしっかりとした知見を持ち、信頼できるという勲章がつくようなものになります」
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)