日本初の「ガチ勝負」 アイスホッケー・トップリーグ王者VS大学王者が実現した背景
ライバル企業が揃ってスポンサーに…鈴木「企画を価値あるものと感じていただき嬉しい」
今回の試合には「ブリングアップチャレンジマッチ」という冠がついている。「ブリングアップ」とは、鈴木監督も活動に加わる「ブリングアップ・アスレチックソサエティ(BUAS)」のこと。スポーツを通じた人間形成を目的とする団体で、小中学生を対象としたラグビー、アイスホッケー、陸上のアカデミーを運営すると同時に、指導者の育成にも尽力。競技の枠を越えた交流も盛んで、日本スポーツ界がさらに発展するように画期的で興味深い取り組みをしている。
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BUASの代表を務めるのは、元ラグビー日本代表主将の菊谷崇氏。今年から日本大学ラグビー部でヘッドコーチを務める菊谷氏は、鈴木監督と菅原監督のアイスホッケー界を思う気持ちに賛同し、冠スポンサーとして名乗りを上げた。企業チームがクラブチーム化する流れは、ラグビーをはじめ日本スポーツ界に見られる傾向の1つ。菊谷氏はラグビーでもトップチームと大学チームが練習試合を行うことにも触れながら、「今回のアイスホッケーの新たな試みは、他競技でも採り入れることができるのではないか」と期待を寄せる。
その他にも今回は10社を超える企業がスポンサーとして協力。地元・苫小牧の企業はもちろんのこと、用具メーカーではBauer、CCM、Warriorの3社がスポンサーに名を連ねた。普段はライバル関係にある同業他社が同じイベントのスポンサーになることは異例の出来事。鈴木監督は「アイスホッケーをなんとかみんなで盛り上げようという気持ち、この企画を価値あるものだと感じてくださる方がこれだけ多くいることを、本当に嬉しく思います」と目を細める。
アイスホッケー界初の試みに向けて、試合をする人、支援する人の準備は整った。あとは8月14日の試合当日、会場となる白鳥王子アイスアリーナに大勢の観客が集まってくれれば言うことはない。
鈴木「アジアリーグと大学リーグでは若干お客さんの層が違う部分もあるので、これをきっかけにアジアリーグを見ていた人が大学にも注目し、大学を見ていた人がアジアリーグにも注目してくれるといいですね。本当にいろいろな人に見てもらい、アイスホッケー界が盛り上がる、いいきっかけになればと思います」
菅原「高校生や中学生には是非見に来てほしいですね。この試合からいろいろ刺激を受けてもらいたいです。今、トップリーグは5チームしかなく選手の数も少ないので、子どもたちの目標として現実的ではなくなっている。子どもたちに目標を聞くと『東洋大学に行きたい』って言うんです、イーグルスではなく……。だからこそ、イーグルスの凄さも見せてあげたいですし(笑)」
鈴木「そこは譲れないので、ガチの勝負ですね(笑)」
盟友2人の深いアイスホッケー愛が原動力となり、踏み出した新たな一歩。アイスホッケー界を変えるかもしれない真剣勝負を見逃す手はない。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)