「これは素人じゃなくても声が出る」 楢﨑正剛が絶賛、FC東京GK連続セーブの心理状態
単なる好セーブ以上の意味「勝ち点1を獲得したことにも価値がある」
連続して訪れた難易度の高いセービングを完璧にやってのけたスウォビィク。現役を引退して指導者に転身している楢﨑氏は、この場面から普段のトレーニング風景が目に浮かんだという。
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「連続した動作を求めるGKトレーニングでよくあると思います。すぐに思いつくのはフィジカルコンディション目的の高い練習かもしれないですが、このように実戦におけるシチュエーションで役立つ場合も多々あります。一つひとつの動作を整える練習と、体勢が整っていない状況でも守り切る術を得る練習はとても大切。ただ厳しい練習をしているのではなく、自然と体を動かせるようにするという意味合いもあります。リアクションや反射といった要素を伸ばすために反復動作は欠かせないですし、幼少期であればGK練習以外のスポーツや遊びから得られることもあるでしょう」
もともと備わっている身体能力が、日々の鍛錬によって実戦で役立つスキルに変わっていく。それは移籍でユニフォームを着替えても変わらない能力だ。
そして新監督就任でスタイルチェンジを模索しているFC東京において、最後尾にスウォビィクが控えている意味とは。
「この試合はドローという結果でしたが、重要なセーブで勝ち点1を獲得したことに価値があります。無失点に終えられた試合でも、押し込まれた展開での無失点やピンチが多くある無失点もある。だからこの札幌戦での無失点は充実感を得られる類だと思いますし、勝利できなかったものの前向きな気持ちで次の試合へ向かえるでしょう。仮にチームとして不安定な試合内容が続いたとしても、スウォビィク選手のように個人として安定したパフォーマンスを発揮できて乗れていないチームをカバーできるのはとても大きい」
2019年夏から日本でプレーしているスウォビィクの名前はJリーグに轟き渡っている。その存在感は首都クラブでより一層の輝きを放つ。
「高いレベルのパフォーマンスをシーズン通して発揮できるGKだからこそ価値がある。所属チームの結果次第で、スウォビィク選手がベストなGKと言われるシーズンになるかもしれません。名古屋のランゲラック選手と似たようなスタイルで、彼らはそのレベルに到達しているクラスの選手だと思います。個人的には、日本人選手が負けじと奮起してくれることにも期待しています」
リーグを代表する守護神が試合を引き締め、Jリーグ全体のレベルをさらなる高みへ導く。
まぎれもなく月間ベストセーブだ。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)