サッカーは「世界をつなぐ」 フリースタイル元王者Tokura、W杯公式球に感じた多様性
「1人ひとりの個性を認め合う」多様性はサッカー界にも存在
「僕、前回のロシアW杯決勝を見に行かせてもらったんですよ。初めてW杯の空気感を味わったんですけど、やっぱりあれって他にはない、本当に特別なイベントなんだなって思いました。世界中からいろんな人がサッカーを見に来ていて、応援している。あれだけの数の、さまざまな国の人が4年に一度、世界を巻き込んで熱狂的になるというのは物凄いイベントなんだなって実感しました」
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
W杯は、まさにサッカーが世界を一つにすることを表現できるコンテンツだ。年齢、性別、趣向、職業、言語や国籍は違えど、“サッカー”というスポーツを通してみんなが一つになれる。その中心にあるのが、サッカーボールだ。ボール1個があれば、パス交換で言葉の壁を簡単に乗り越えられる。
「初めて世界大会に出場した18歳の時に感じたんですけど、当時、英語が全く話せませんでした。大会参加者のなかで、僕だけが言語ができなくてコミュニケーションが取れなかったんです。でも、みんなが練習しているところに入って、一緒にボールを蹴り出したら、もう言葉なんて逆にいらなくて。『え? そんなことができるの? じゃあこれもできる?』ってジェスチャーで伝えて実際にやってもらって、それで十分だったんです。本当に言葉がいらなかったことにびっくりしました。このボールがあったからこそ、これだけ多くの人と知り合うことができましたし、本当にサッカーボールって全然違う国の人たちを簡単に繋げることができるんだなあと身をもって感じました」
フリースタイルもサッカーも勝負の世界なので、勝敗はもちろん存在する。しかし、そのなかにも「いいものはいい」と認め合えることこそ、スポーツのなかにある多様性なのかもしれない。
「フリースタイルっていうのは、本当に言葉のまま“フリー”だし、自由でいいって僕は思っているんです。いろんな国の選手が一堂に会して大会をやるんですけど、国とか地域とかっていうのをみんな全く気にしていないし、フリースタイラーは自然と1人ひとりの個性を認め合っているんだと思います」
それはサッカーも同じだ。「敵ながら素晴らしいゴールだった」「負けたけど、いい試合だった」。そんな言葉が自然と聞こえてくる世界観がある。
「W杯の決勝の舞台に日本代表が行くのを、僕たちファンは楽しみに応援しています」
新宿の摩天楼を見渡すビルの屋上で、極上のフリースタイルのプレーに世界の頂点への夢を乗せて、サッカーボールが世界をつなぐ旅は、また次の都市へと飛び立っていった。
(THE ANSWER編集部)