国境を越えて虜にする大谷翔平の人間性 “自称No.1”エ軍ファンが球場で目撃した行動
「ベストシーン」に選んだ歴史的快挙「イチローやマツイもやってない」
「彼を“Real Deal(本物)”と思ったのは、投手・オオタニのホームデビュー試合。アスレチックス戦。10三振以上を奪い、途中まで無安打投球だった。この時、特別な選手だと感じた」
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18年4月8日(日本時間9日)の本拠地初登板。先頭から19者連続斬りで7回1安打1四球12奪三振と圧巻の投球だった。
以来、様々な名シーンを目の当たりにしてきた。ソトさんが「ベストシーン」として挙げたのは、右肘の手術翌年で打者に専念していた19年6月13日(同14日)の敵地レイズ戦だった。これまで数多くの日本人選手も達成できなかった快挙を大谷が成し遂げた。
「サイクル安打のときだね。私が彼を見てきた中で最も印象的だった。他の日本人選手は達成していないよね? イチローやマツイもやっていない。驚いたよ」
野球以外でも称賛できる点があるという。4月にエンゼルスタジアムで実際に目撃したワンシーンに、特異な人間性を感じ取った。
「彼が打席に立つとき、紙くずが飛んでいたんだ。彼はそれを取りに行っていた。いつもゴミを拾っているし、ファンの声援にも応えている。サインにも応じる。彼は全てにおいてグレートな選手だ。野球以外でも彼は人間として素晴らしいよ。MLBのような大きな舞台でも続けている。俺もそういう人間になりたいよ」
日本でもお馴染みとなったエンゼルス戦のテレビ中継。大谷が理由で、エンゼルスを応援する日本人が増えていることをソトさんは歓迎している。
「最高だね。新しいファンが球場に来ることを望んでいる。俺は観戦するとき、勝っても負けても楽しい。それをみんなにも体験してほしい」
取材の数日前、同僚のブランドン・マーシュ外野手の名前が日本のツイッター上でトレンド入りしていた。若手のマーシュは決して全米レベルの選手ではない。それほど、日本で“エンゼルス熱”が盛り上がっていると伝えると、「マジ? 面白いね(笑)。ショウヘイのおかげでファンが増えているのは嬉しい」と喜んだ。
1年目から活躍を続け、昨季MVPとなって大きな花を咲かせた背番号17。エンゼルスに命を懸ける“本物”の現地ファンに確実に新しい景色を見せていた。そして、二刀流は日米のファンの架け橋にもなろうとしている。
(第2回後編はマニラから応援するフィリピン人女性、ファティマ・サブンダヨさん)
(THE ANSWER編集部・和田 秀太郎 / Shutaro Wada)