日本バドミントン界でいま深刻な「環境格差」 実業団が交流大会を開催した切実な理由

ポイントを稼げず、這い上がれない選手の苦悩
もっと深刻なのは、這い上がる手段を失った選手が存在することだ。初戦で日本B代表の森口航士朗(BIPROGY)を破ってシングルスで8強入りした稲光翔太郎(日立情報通信E)は、高校3年の2020年にインターハイがコロナ禍で中止。同大会で全日本総合選手権の出場権を得て、社会人大会の手がかりを得るのがトップ選手の定石だが、その機会を失った。
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「大会に出たのが1年半か2年ぶりくらいで緊張したけど、本当にこの大会を楽しみにしていました。社会人1年目の昨年は、出場大会ゼロ。全日本総合に出られず、そこでポイントを稼げないから日本ランキングサーキットにも出られない。全日本総合の出場権を得るための全日本社会人が行われない状況では、おそらく関東総合も行われない。出られる大会が行われることを願うだけです」(稲光)
月末には、日本ランキングサーキットが有観客で行われる予定だが、他の大会も再開しなければ、競技の普及や活性化の源である選手を失いかねない。実業団が協力して大会を行えたのは救いだが、公式戦の再開が最も望ましい。現在、日本のバドミントン界と言えば、日本協会職員の着服問題が注目を集めているが、ほかにも早急に解決すべき問題がある。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)
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