ドラッグストアのレジ打ちから目指すパリ五輪 重量挙げ次世代ヒロイン高橋いぶきの物語

「私が良い記録を出そうが得も損もない人たちが、自分を応援してくれている」
無欲で才能を開花させ、競技に向き合いすぎたがゆえに挫折も経験した高橋は、新たな環境への挑戦の中で、ちょうどいい競技との距離感を見つけようとしている。
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今年は、2024年パリ五輪に向けたレギュレーションが発表される予定で、五輪を目指すリフターにとっては本格始動の年となる。高橋もナショナルチーム合宿に参加するなど精力的に活動している。当面は11月に行われる世界選手権(中国・重慶)への参加を目指す。
どこまでも無欲な彼女は、パリ五輪という夢の舞台について水を向けても「自分が出たいという気持ちはあまりない」と素っ気ない。
ただ「でも……」と続けた言葉の先に、この1年間で得たものが垣間見えた。
「私が良い記録を出そうが得も損もない人たちが、自分を応援してくれている。こういう環境にいるからこそ、すごく感じる。そういう方々に助けてもらってここまできたので、応えたいなとは思います。五輪に出て、少しでも自分に関わってくれた人が喜んでくれたら。そういう形でしか自分は恩返しができないので」
奈良のドラッグストアのレジ打ちから、パリ五輪のヒロインへ――。新たな地で恵まれたたくさんの出会いが、高橋いぶきの物語を加速させていく。
■高橋いぶき / Ibuki Takahashi
1997年3月24日岐阜県生まれ。海津明誠高2年の時に陸上からウエイトリフティングへ本格的に転向(48キロ級)。高3で全国高校選手権5位入賞。金沢学院大に進学し、2017年全日本学生選手権優勝。シニアレベルでは、2018年全日本選手権2位になると、2020年から全日本選手権連覇。得意種目のクリーン&ジャークでは日本記録を保持(109キロ)。148センチ、48キロ。趣味はドラマを見ること。
(梅本 タツヤ / Tatsuya Umemoto)
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