BMX内野洋平が「今」にこだわるワケ X Gamesの大舞台で伝えたいメッセージ
4月のX Gamesでは「勝たなければいけない使命感しかない」
ウッチーの愛称で親しまれる内野も、気が付けば今年で40歳を迎える。だが、プロ転向から20年経つ今でも老け込むことはなく、内野洋平らしさを持ち続けている。
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「若手って呼ばれていた時のことも昨日のことのように覚えていますよ。今やレジェンドなんて言われますけど、本人はそんなに変わっていない。ステージに立つと年齢は関係なく、本当に上手いヤツが勝つ。メディアは若手にフォーカスしがちですけど、逆に40歳の現役が20歳と戦う姿の方が今までにないメッセージ性があるんじゃないかと思うんですよね。なぜ40代になったら裏方に回るのか。なぜ40代になったら諦めなければいけないのか。スケボーやBMXをやってみたかったというお父さんたちは、なぜ今挑戦しないのか。僕にしか伝えられないことがあると思うんです」
内野が伝えたいのは「39歳ならでは」という年齢に縛られたスタイルではない。過去でもなく、未来でもなく、今の自分が作る最高のスタイルだ。“今”で勝負し続ける。そこにはストリートスポーツに共通する価値観が大きく関わっている。
「スケボーもBMXも、現役にとっての価値基準は“本物”か“偽物”か。みんな偽物にはめちゃくちゃ敏感ですね。かっこつけだけのヤツとか、上手くないのにスポンサー集めだけ上手いヤツとか。OBで言えば『俺は昔?』って武勇伝ばかり語る人。僕はまったくかっこいいとは思いません。武勇伝は語るものじゃなくて、見せるもの。昔ほど動けなくても、今ちょっとした技ができる姿の方がリスペクトされるし、メッセージ性があると思うんですよ」
世界中からトップライダーが集まるX Gamesはまさに、内野洋平という生き方、その礎となる価値観をメッセージとして伝えるには、最高の舞台になりそうだ。
「X Gamesの舞台で僕が勝てば、今のキッズも『うわ、すげぇ』となって、ストリートスポーツがさらに盛り上がるいい循環が始まる。だから、勝たなければいけない使命感しかないですよ。ただ、気合が入りすぎると良くないので、そこは気付かないふりをして(笑)。でも、ステージに上がってしまえば、本番はめちゃくちゃ強いです。緊張もないし、無の状態。会場の空気をもっと盛り上げたい。それだけですね」
X Gamesの当日、内野のパフォーマンスを見る人たちは、どんなメッセージを感じ取るのか。「今」に生きる、その姿が言葉より雄弁に物語るはずだ。
(佐藤 直子 / Naoko Sato)