佐藤琢磨、新天地での13年目を力強く発進 優勝請負人の期待と憧れるイチローとの縁
今季の新カーナンバーは51「日本人にとって特別な番号」
昨季、5シーズンぶりに勝利なしに終わった佐藤は、2017、20年に続く3度目のインディアナポリス500マイル(インディ500)制覇と初の年間王者のタイトル獲得を目指すため、新天地に活路を求めた。そして、インディ500優勝を悲願とするコイン氏は、佐藤を優勝請負人として迎え入れた。
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コイン氏は「インディ500を勝ちたい。彼は勝ち方を知っている。我々はチームとしていい戦略を持っていて予選からいい車を作り上げることにも成功してきた。彼の2度の優勝は戦略というよりもドライバーとしてのスキルを生かした勝利だった。そのことに強い感銘を受けている」と、大舞台で強さを見せるベテランに大きな期待を込める。
佐藤も「そういう風に迎え入れてもらえたのはドライバーとして幸せなこと。(チームの)結束力はすごく高い」と意気に感じている。開幕戦で見事な巻き返しを見せたことでコイン氏の期待はさらに高まったようだ。「彼がインディ500を勝ったときはいずれも予選でいい結果を残している。ことしはまず予選でトップ9に入ることが目標。そうすれば勝つチャンスがかなりあると思っている」と、早くも5月29日の伝統レースが待ちきれないといった口ぶりだった。
また、5シーズンぶりに新チームに移って新たな刺激もある。カーナンバーが昨季までの30号車から51号車へと変わった。51番いえば、大リーグのレジェンド、イチロー氏が現役時代に付けていた背番号だ。
アジア人初のインディ500制覇を果たすなど海外で活躍を続ける佐藤にとって、前人未踏の記録を達成してきたイチローは憧れの存在だった。「全ての日本人アスリートの憧れの存在。アメリカで戦う中で、くしくも同じ番号を背負うというのは何かの縁だと思うので、ことしベストのシーズンを目指します。51番は日本人にとって特別な番号。その51に恥じない走りをしますよ」。憧れのレジェンドとの縁と、チームからの大きな期待を感じながら、新天地でのシーズンを力強く走り出した。
(岡田 弘太郎 / Kotaro Okada)