「だって、大輔やもん」 恩師も期待せずにはいられない、高橋大輔の“夢を見させる力”
一番のお気に入りの演技は札幌でのNHK杯のSP
――高橋選手のスケートは、その表現に広がりを感じます。それが多くの人に愛される理由かもしれません。
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「大輔はリンクで物語を演じる感覚はなかったようです。バンクーバーオリンピックの『道』も、『映画、一回見たら?』と私は勧めたんですが、彼は曲からインスピレーションを受け、頭で考えるよりもフィーリングを大事にしていて。物語のあらすじは分かっているし、道化師のところとか、演じてはいるのですが。お客さんに『こう見て欲しい』よりも、『どう感じるか、好きにしてくれ』って押し付けない。あの映画って最後は悲劇というか、ちょっと救いようがないじゃないですか? でも大輔の演技は曲から感じられるものだから、人生賛歌のようなもので、救いがあって希望が見えると思うんです」
――高橋選手のプログラム、長光先生が一番のお気に入りはあるんですか?
「よく聞かれるんですが、みんな好きなんですよ。ただ、その場にいてすごく良かったと思うのは、札幌でのNHK杯(2011年11月)、ショートプログラムで演じた『イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウルズ』で、本当に素敵でした。体のでき上がりも良かったんですが、“曲に体の細胞が全部反応しているわ!”って。その年の全日本は4回転トウループ+3回転トウループでノーミスでしたが、NHK杯の3回転+3回転のほうが好きですね」
(第7回へ続く)
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)