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“10段階評価”で見るノルディック複合の展望 渡部暁斗は「ジャンプ7点、クロカン9点」

ラージヒルでも手強いライバル3人

 今季の渡部暁はジャンプの出遅れを後半で挽回する試合が続き、最新の評価は「ジャンプ7点:クロスカントリー9点」。走力が満点の選手は4人しかおらず、好調な走りはトップクラスの評価を受けている。年明けのレースでは全体1位のタイムをマーク。速さだけでなく集団でのクレバーな位置取りや最後のスプリント勝負も光り、「技術的には(若い頃より)はるかに上手い走りをしている。経験値もあって駆け引きもできるし、スプリント力がついて勝負強さがプラスされている」と手応えを掴んでいる。

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 15日の個人LHを展望する上で、まずはNH上位4選手のFISのパフォーマンス評価と、前半ジャンプと後半距離10キロの順位を見ていきたい。以下の選手名の横にあるカッコ内の数字がFISのパフォーマンス評価だが、結果である順位を見れば、かなり精度の高い“ものさし”になっていることが分かる。

【金メダル】ビンツェンツ・ガイガー(8点:10点)→前半ジャンプ11位、後半距離1位
【銀メダル】ヨルゲン・グローバク(7点:10点)→前半ジャンプ9位、後半距離2位
【銅メダル】ルーカス・グライデラー(7点:8点)→前半ジャンプ2位、後半距離7位
【4位】ヨハネス・ランパルター(8点:9点)→前半ジャンプ5位、後半距離3位

 この中で、個人LHで渡部のライバルとなりそうなのは、W杯でも結果を出している3人。今季3勝でW杯総合首位のヨハネス・ランパルター(オーストリア)、同3位のガイガー、そして同4位のヨルゲン・グローバク(ノルウェー)だ。

 渡部暁が「レーススタイルが好き。(前を)ガンガン行く」と高く買っているのが、24歳のガイガーと20歳のランパルターの若い2人だ。ともに高い走力を生かしたアグレッシブさが魅力で、積極的に集団を引っ張り正々堂々と勝負する走りは自身に通じるものがある。

 平昌五輪では金銀銅独占のドイツ年長トリオの陰に隠れていたガイガーは、この4年で複合王国のエースに成長すると、今大会は前回LH金メダルで走力No.1の先輩ヨハネス・ルゼックをラストでぶち抜いて金メダル。他の選手に後方から延々と風除けに使われることもあるが、怯むことなく前をせっせと走り続ける姿には、渡部暁も「これは漢(おとこ)だなっていう走りをする」と称える。

 ランパルターは、1年前にジュニアとシニアの世界選手権同時金メダルの快挙を達成。名ジャンパーを多数輩出した名門スキー学校の卒業生らしくジャンプも得意で、優勝が狙えるとなればがむしゃらに走る。170センチの小柄な身体からあふれるパワーは、重量挙げU-17国内チャンピオンという肩書がなせる業か。渡部暁とは走力も近く、一緒に逃げるならこの選手がベストかもしれない。

 走力10点の猛者ながら、渡部暁が一緒に走りやすい選手として挙げるのがグローバクだ。

「後ろにつけばリズムが取りやすい。コースの取り方が上手くて無駄な力は使わない」

 この数年で一気にレベルの上がったジャンプで苦戦も、クロスカントリー王国のベテランらしい走りでカバー。グローバクもSNSに「アキトと協力して走るのは本当に楽しい」と綴っており、互いに強い信頼関係がある。ジャンプで貯金を作り、体力面で優位に立てる状況で協力できれば心強い存在になりそうだ。

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