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酪農一家に生まれた“スケートの申し子” 森重航、大人を困らせるほど氷を愛した幼少期

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。

スピードスケート男子500メートルで銅メダルを獲得した森重航、恩師が語る少年時代の姿とは【写真:Getty Images】
スピードスケート男子500メートルで銅メダルを獲得した森重航、恩師が語る少年時代の姿とは【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#60 恩師が語る地元・別海町での少年時代

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 北京五輪スピードスケート男子500メートルが12日に行われ、森重航(専大)が34秒49で3位となり銅メダルを獲得した。日本の男子選手がスピードスケートでメダルを獲得するのは、2010年バンクーバー五輪500メートルの長島圭一郎(銀メダル)、加藤条治(銅メダル)以来3大会ぶり。今シーズンに入ってから彗星の如く現れ、五輪メダリストへと一気に駆け上がった森重の強さの源はどこにあるのか。少年時代の姿を追った。(取材・文=THE ANSWER編集部・谷沢 直也)

 ◇ ◇ ◇

 21歳の森重は、今シーズンからナショナルチームに入り急成長。昨年10月の全日本距離別選手権の男子500メートルで、北京五輪に出場した新濱立也(高崎健大職員)と村上右磨(高堂建設)を破って優勝すると、12月のワールドカップ(W杯)では新濱に続く日本人史上2人目となる33秒台の記録(33秒99)を出し、初優勝を果たした。さらに年末の五輪代表選考会でも優勝と、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで五輪本番を迎えていた。

 森重は北海道東部、オホーツク海の先に北方領土を望む別海町の出身。町の中心部から約20キロ離れた上風連地区にある酪農一家で、8人きょうだいの末っ子として生まれた。大自然に囲まれてのびのびと育つなかで、地元ではある噂が立っていた。

「朝から晩までリンクで遊んで大人を困らせている保育園児がいると、私もよく聞いていて。誰なんだろうと思っていたら、初めて森重が少年団に来た時に『ああ、この子だったのか』と知った思い出があります」

 そう振り返るのは、森重が小・中学生時代に在籍した別海スケート少年団白鳥の監督、小村茂さん。北京五輪の500メートルと1000メートルの代表にともに選ばれている新濱も同じ少年団の出身で、森重は4歳年下となる。

 幼少期からスケートが大好きだった少年は、地元のリンクで噂になるほど思う存分遊んでいたが、小学2年生の時、学校で配られた別海スポーツ少年団白鳥のチラシを見て、加入を希望した。自宅から町営リンクまでは片道約20キロ。両親がいつも車で送り迎えをしていたという。

「言葉が少なくて恥ずかしがり屋というか、なかなか自分の感情を表現するのが苦手な子だなという印象でしたね。ただ潜在能力というか、体幹などの身体能力もすごく高い子だなと。カーブワークを習得するのには少し時間がかかりましたが、覚えた途端にトントン拍子に上達していく。1つ教えたら2つ、3つのことができるようになる器用な子でした」(小村さん)

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