平野歩夢が地元で愛される理由 後援会理事長が思い出す、郷土愛あふれる3兄弟の姿
村上市スケートパークは「平野兄弟の聖地」に
平昌五輪後、平野がスケートボード挑戦を決めると、後援会の中から心配の声を上げる人もいた。
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「私自身はなかったですけど、周りの人たちは全然違うスポーツなので、ちょっと危惧したこともある。この次、金メダル獲らなきゃいけないのに大丈夫かという声でした」(佐藤さん)
スノーボードのハーフパイプで2大会連続の銀メダル。1つの競技を極めて、どうしても金メダルを獲ってほしいという切なる願いだった。
二刀流の成功を祈り、後援会で集めた会費の一部を遠征費として補助。村上市も市を挙げてサポート体制を整えた。2019年には村上市スケートパークが誕生。スケートボードのパーク、ストリートを中心とした本格的な室内練習施設で、平野や弟の海祝もここで腕を磨いた。
五輪の活躍で、“平野兄弟の聖地”として脚光を浴びることも期待している。「どういうものかと観光で見に来たりする形ができればありがたい。できたら、オフシーズンの時はここで(平野の)スケボーを見ていってもらいたい」と、地域活性の目玉としても熱い視線を送っている。
故郷とのつながりを大切にするのは平野も同じ。事あるごとに、地元愛を告白してきた。北京五輪直前も「地元の村上市は、スノーボードもスケートボードも築き上げてきた場所。目標を持ってやれたり、刺激というのを地元の子には特に伝えていけたら」と話していた。
平昌五輪後は、村上市でオープンカーに乗って凱旋パレードを行い、上空で複数のヘリコプターが追いかける盛り上がりとなった。今度は待望の金メダルだ。だが、新型コロナウイルスの拡大で新潟にもまん延防止等重点措置が出されており、平野が帰国してもすぐにはできない。「コロナが収まるのを祈るばかり」と佐藤さんは結んだ。
(水沼 一夫 / Kazuo Mizunuma)