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高梨沙羅スーツ規定違反の深層 神経を尖らす日本の事情、腕利き職人は引き抜きも

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載する。

高梨沙羅も失格となった規定違反、年々激化するスーツを巡る競争の舞台裏とは――【写真:Getty Images】
高梨沙羅も失格となった規定違反、年々激化するスーツを巡る競争の舞台裏とは――【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#34 計5選手が失格した大波乱のジャンプ混合団体

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 北京五輪で初採用のノルディックスキー・ジャンプ混合団体が7日に行われ、日本は高梨沙羅(クラレ)、佐藤幸椰(雪印メグミルク)、伊藤有希、小林陵侑(ともに土屋ホーム)の順で臨み、4位だった。1本目に、第1グループの高梨がスーツの規定違反でまさかの失格。男子個人ノーマルヒルで金メダルの小林陵が大ジャンプを見せたものの、メダルには手が届かなかった。計5選手が違反で失格となった大波乱の混合団体。年々激化するスーツを巡る競争の舞台裏とは――。(取材・文=水沼 一夫)

 ◇ ◇ ◇

 1回目、ヒルサイズ(106メートル)に迫る103メートルを飛んだ高梨は、着地後に笑顔をのぞかせる。会心のジャンプのはずだった。だが、その直後、スーツの規定違反で失格。記録は取り消された。

 スーツ規定違反は他国の選手にも及び、第1グループではベテランのダニエラ・イラシュコ(オーストリア)が、第3グループでは女子ノーマルヒル銀メダルのカタリナ・アルトハウス(ドイツ)が失格となった。

 日本が通過ギリギリの8位に入って迎えた2回目、高梨は険しい表情のまま飛び出すと、K点(95メートル)超えの98.5メートル。着地と同時に、我慢できずに顔を両手で覆って、涙に暮れた。

 各国に続々と失格者が出たことから、それでも日本はメダルの可能性を残した。小林陵の2回目の飛躍を前に、4位まで浮上する。3位カナダとの差は、距離換算で約9メートルだった。エースにかかる一発の期待。小林陵は、高梨が祈るように見つめるなか、106メートルの大ジャンプ。しかし、カナダの4人目も101.5メートルを飛び、万事休す。金メダルはスロベニア、銀メダルはロシア・オリンピック委員会(ROC)となった。

 報道によれば高梨の違反について、太もも回りが規定より2センチずつ大きかったと伝えられているが、スーツを含む道具の規定違反は、ジャンプでは珍しいことではない。2006年トリノ五輪では、ノーマルヒル予選で原田雅彦が失格となった。この時、足りなかった体重は「牛乳1本分」と言われた。ワールドカップ(W杯)では小林陵も違反の経験がある。

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