「モーグル→競輪→モーグル」原大智、競輪養成所の“退所寸前”で教官が目撃したド根性
「ほかの人からすると考えられない生活をしていた」
そして年間を通じて感じたのは、ここ一番の集中力の高さだった。
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「やっぱり1回にかける集中力は垣間見えました。競争でここぞっていう時に、まあまあいいタイムが出たり、養成所の時、(実戦形式の)練習で4回勝っているんですけど、ここぞの時は1着を取れるようなレースをしていました」
平昌五輪のモーグルでは世界選手権2冠の堀島行真(トヨタ自動車)に隠れ、大本命ではなかった。コーチも「ハマれば」と一発に期待している中でつかんだ快挙だった。
北京五輪では、さらにタフになった滑りに注目が集まる。原も「競輪からのフィジカルだったり、いろんな要素がターンに転換できた」と語っている。昨年12月のワールドカップでは自己最高の2位と表彰台にも乗った。大川教官は、「逆に言えば前回以上に気持ちの面で出してくれるかな」とエールを送り、こう続けた。
「1年間の養成所生活は、ほかの人からすると考えられない生活をしていました。自衛隊とか警察学校じゃないですけど、時間を拘束された中で自由時間もない生活。あと集団生活であるということは、ここでしか経験できない。ここでのつらさや厳しさというところが、ほかの子以上にプラスになると感じています」
モーグルは今シーズンが最後と公言している原は、その後、競輪に専念する予定だ。下はA級3班から、上はS級S班まである区分けの中で、1月にA級2班に昇格した。
大川教官は「今シーズンが終われば競輪だけに集中できるかと思いますので、まだまだ経験を積んでいってほしい。1、2年後にはS級に上がれるかなと思っています」と話し、北京五輪での完全燃焼を望んだ。
(水沼 一夫 / Kazuo Mizunuma)