「踊れる男子を育てたい」 高橋大輔の恩師、フィギュア指導者を志した人生の転機
コーチは「お父さん、お母さん以上になったらいけない」
――長光先生はフィギュア界でも優しく寛大な方という印象ですが、指導者のエゴを持ったことはなかったのでしょうか?
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「1人の指導者として、主張は沸いてくるんです。自分が(選手を)ハンドリングしたい、独占したいって。そこで上手くいかなくなると、“なんで?”って気持ちになって。でも若い頃、それを主人に言うと『お前、そんなエゴは持つもんじゃない』って怒られました。主人の考え方も良かったんですね。今はそういう悩みをコーチになった教え子が言ってきて、気持ちは分かるんですが。『子供に情がうつるだろうけど、お父さん、お母さん以上になったらいけないし、なれないんだよ』って言います」
――多くの教え子が今やコーチになってスケートを教えていますね。それこそ、指導者の本懐にも思えます。
「みんな、それぞれが活躍してくれているのは嬉しいですね。(2010年)バンクーバー(五輪)の後、みんなが(還暦のお祝いで)集まってくれて、プレゼントをもらったんです。(胸に光るペンダントをかざしながら)これにはみんなの想いが詰まっている気がして。いろんな失敗もしてきたけど、“みんながいたから今がある、大丈夫”っていう気持ちになるんです。だから、(出かける時は)忘れずにしています。デザインも素敵で、大好きです」
(第4回へ続く)
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)