高橋大輔の人生は「漫画や小説にもない物語」 恩師が確信する“かなだい”の輝く未来
全日本後に伝えた「来年も続けてほしい」という言葉
――まず急きょ、“かなだい”のコーチを引き受けた経緯を教えてください。
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「マリーナが来られないことになって、彼らだけでリンクに出て行くのは辛いだろう、というので引き受けました。リンクサイドに立つだけなら、私と(村元のシングル時代のコーチである)濱田(美栄)先生が適役だろうな、って。同じ(アイス)ダンスの先生が立つと、難しい問題が起きるかもしれなかったので。ダンスの先生から見たら、シングルの先生が何を偉そうに、と思われたかもしれませんけど」
――練習中、水を渡すタイミングが阿吽の呼吸でした。
「(濱田先生と)私たちはとにかくティッシュと水持ちだって(笑)。大輔をずっと見てきたので、“ああ、ここは水だな”とは分かるので。その呼吸は良かったと思いますけど」
――“かなだい”は日本人歴代最高得点を叩き出したワルシャワ杯の転戦を挟み、日本での隔離もあり、不利な戦いでした。リズムダンスでは不測の転倒があって……。直後、どんな話をしたのでしょう?
「うーん、『難しいもんだね、アイスダンス』って。今回は2人とも緊張していたはずですよ。ズームを使ったレッスンでは不安が残りますし、私たちは(ダンスは)分からへん素人やしね。それに大輔は外に言っていませんが、靴が合わなかったみたいで、最後まで調整していたんですよ。今回は、それも上手くいかなかった要因かな」
――高橋選手に至ってはシングルから転向2年目、まるで別の競技をするなか、実力で日本のトップまで来ました。
「大輔は初めての競技だけに、本当にいろんなことを短期間で経験していました。去年の全日本もそうだったけど、いくつかアクシデントがあって。『全部、経験しておけ』って言われているんだろうなって思っています。それを乗り越えてきただけに(五輪選考に関しては)残念な気持ちもありますが、これからの糧になるはずです」
――フリーダンスは見事に1位も、北京五輪代表を逃した後、どんな声をかけましたか?
「『来年も続けてほしい』っていうのは伝えました。今、やっとアイスダンスが上手になってきたというか、土台ができた気がしたので。これからもっと上手になるはずだから。4年後(の五輪)っていうのは先が長いし、分からないけど、来年は続けてほしいなって」