米国のスポーツと暴力、命を脅かす一面も 全米の審判13%は「襲撃を受けた経験あり」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「米国のスポーツと暴力」について。
連載「Sports From USA」―今回は「米国のスポーツと暴力」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「米国のスポーツと暴力」について。
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1月はじめに米テネシー州の州議会議員が高校バスケットボールの試合観戦中に激高し、審判のスボンをずりおろすという愚をおかした。報道によると、この議員は息子の試合を見ていて熱くなってコート上に入り込み、審判から立ち去るように命じられたところ、このような行為をした。
彼は州議会議員だったこともあって、マスメディアに取り上げられ、日本のメディアでも伝えられた。しかし、こういった愚行は米国では珍しいことではない。米国の学校運動部を含む子どものスポーツや、大人のアマチュアスポーツの場でも、審判に対する暴言、暴力は頻繁に起こっている。
“Sport and violence: A critical examination of sport.”では、スポーツの場における暴力について報告しており、審判が、選手や観客、その他の人物によって怪我させられた主な事件をリスト化している。その一部を以下に挙げる。
・激高した母親が、10代の審判の首を絞める。
・10歳の野球少年が判定を下した審判に殴りかかる。
・判定に異議のあったコーチが、審判の顎の骨を折る。
・レスリングをしていた11歳の子どもの父親がレフェリーを殴って有罪となる。
・レクリエーションのアイスホッケー選手が審判にスケートを投げつけ怪我をさせる。
・母親がフィールドの審判に突撃し、逮捕される。
・高校のアメリカンフットボールの試合で、選手が審判にタックルする。