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厳格な父が名ストライカーを育てる? 点取り屋の“執念”を植えつけた男と男の関係性

父は深い愛情を持ちながら、男として息子を突き放せるか

 中学から国見へ進学するのだが、最初の50メートルで二人一組のトライアルに敗れた。悔しさで力が入らなかった。この時、見学に来ていた両親は慰めるどころか、無言で車に乗り込み、福岡へ戻ろうとし、大久保は自転車で必死に車を追いかけた。泣きながら叫び続けたが、「来るな」と怒られ、置いて行かれてしまった。再び、一人で悔しさに向き合ったという。

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 勝負への執着は、こうした瞬間に生まれるのかもしれない。あるいは、それで破裂してしまう人もいるだろうが、ストライカーとして勝負するには不条理に向き合う必要がある。慰められていたら、戦いの衝動は収まってしまっていたはずだ。

 父は深い愛情を持ちながら、男として息子を突き放せるか。独特な男と男の関係と言えるだろう。そこで息子は歯を食いしばり、父の愛情を求める。そこに理屈は存在しない。

 やはり、ストライカーを論理的に育てるのは難しそうだ。

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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