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「もっと点を取れた」 日本人10人目のJ1得点王、前田大然が語る悔恨と同僚への感謝

サッカーのJリーグは6日、2021シーズンの年間表彰式「Jリーグアウォーズ」を開催し、ベストイレブンやMVPなど各賞を発表した。2度目の連覇を達成した川崎フロンターレから7選手がベストイレブンに選出されたなか、2位の横浜F・マリノスから唯一選ばれ、初の得点王にも輝いたFW前田大然が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。(取材・文=藤井雅彦)

初の得点王に輝いた横浜F・マリノスのFW前田大然【写真:Getty Images】
初の得点王に輝いた横浜F・マリノスのFW前田大然【写真:Getty Images】

レアンドロ・ダミアンと23ゴールで得点王、自身初のベストイレブンも受賞

 サッカーのJリーグは6日、2021シーズンの年間表彰式「Jリーグアウォーズ」を開催し、ベストイレブンやMVPなど各賞を発表した。2度目の連覇を達成した川崎フロンターレから7選手がベストイレブンに選出されたなか、2位の横浜F・マリノスから唯一選ばれ、初の得点王にも輝いたFW前田大然が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。(取材・文=藤井雅彦)

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 凛々しい和装がひと際目を引いた。

 2021シーズンのJ1リーグ得点王に輝き、Jリーグベストイレブンにも選ばれた横浜F・マリノスの前田大然。「自分の結婚式以来です」と明かす紋付き袴姿でJリーグアウォーズの晴れ舞台に立った。お馴染みになっている坊主頭は「今朝、剃ってきました」と短い言葉に気合いを込め、ピッチ内同様にとにかく目立っていた。

 出場36試合で積み上げた得点数は「23」。昨季は8月に加入してシーズン後半戦のみの稼働とはいえ3得点に終わったことを考えると、驚異的な進化を遂げたと言っていいだろう。

 開幕前に掲げていた目標は控えめで、ストライカーとしては最低限の二桁得点だった。自身も出場した東京五輪前に10ゴール目を決めると、次は今夏にセルティック(スコットランド・プレミアリーグ)へ移籍したFW古橋亨梧(元ヴィッセル神戸)の15得点を目指す。それに到達すると今度は目標を20ゴールに上方修正し、最終的には23得点まで数字を伸ばした。

 しかし表情に満足感は一切ない。口をついて出るのは貪欲さと、ほんの少しの悔恨だ。

「23ゴールという数字だけを見たらすごいかもしれませんが、同時にもっとゴールを決められたという思いもあります。それこそ仲間が作ってくれたチャンスをすべて決めていれば30得点は普通に超えていたと思います。嬉しい反面で悔しいというか、もっと点を取れたなと」

 シーズン残り10試合の時点で得点ランキングトップに立ち、個人成績としては追いかけられる立場になった。最終的に得点王の座を分け合ったレアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)に猛追され、メディアからは毎試合前後に得点王関連の質問が飛んでくる。

 平常心でピッチに立つことが難しくなった終盤戦は、珍しくプレーに迷いが生じる場面も。決定機でシュートかパスかの選択を迫られ、単純なボールコントロールミスも散見された。持ち味の自然体ではなく、先に頭で考えるようになってしまったのかもしれない。

「自分から得点ランキングを見ることはほとんどありません。でもSNSなどで自然と情報が入ってくる時代です。できれば追いかける立場が良かったので、正直に言うとプレッシャーを感じる時もありました。自分ではあまり意識したくなかったですし、メディアの皆さんからの質問に答えるのも難しかったのが本音です。ただ、結果を残して取り上げてもらえる選手は限られるし、とても誇らしいこと」

 目の前のハードルを越えると、さらに高いハードルが待ち構えていた。その繰り返しが前田のジャンプをより高いものにさせた。

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