GKに必要な素養は「多少のクレイジーさ」 楢﨑正剛とランゲラックが語る“守護神論”
ランゲラックは「素晴らしい見本」であり「最高の教材」
ランゲラック「ナラさんと一緒に細かく話していくと、このシーンの解説に1時間くらいかかってしまいそうです(笑)。シュートを打たれることを察知し、一度下がってゴールライン上のポジションを取りました。そういった準備があったおかげで、なんとか防ぐことができたと思います」
楢﨑「シュートを打たれる前にステップを踏んで下がっているよね。GKの対応としてはセオリーだけど、これを公式戦という舞台で瞬時に判断して実行するのが難しい。みんなが『やられた』と思ったシュートを止めた意味も大きい」
ランゲラック「日々のトレーニングの賜物だと思います」
楢﨑「こういった素晴らしいプレーもあったからこそ、できれば2-1で勝ち切りたかった試合だよね(※結果は2-2の引き分け)」
ランゲラック「その通りだと思います。前半に2点をリードしていた有利な展開だったので、勝たなければいけない試合でした」
――名古屋の特徴として、失点の少なさが挙げられます。その反面、リードしている試合では守備の時間が長くなる傾向もあると思いますが、そのあたりの難しさは?
ランゲラック「チーム全体で守備組織を構築できているので、守りやすい場面は多いです。でも試合において守備をしないということはありえません。我々がゲームを支配していても、ボールを持っていても、リードしていても、サッカーはいつ守備の瞬間が来るか分かりません。シュートが飛んでこなくてもクロスが入ってくることはありますし、トータルで相手の攻撃の芽を摘む守備がしっかりできていたと思います」
楢﨑「アカデミーを指導する立場として言わせてもらうと、こんなに素晴らしい見本が身近にいるのは育成年代の選手にとって最高の環境です。言葉でいろいろ説明をするけど、ミッチのプレーは理解を深めるのに最高の教材なので、プレーを説明するときに使わせてもらっています」
ランゲラック「とてもうれしいですが、プレッシャーを感じます(笑)」
楢﨑「さっきのプレーだけでもいろいろな要素が詰まっていたよね。クロスに対する判断から始まり、シュートへのポジショニングがあり、ダイビングもそう。ミッチは正しくプレーする回数が多いので、とても参考にしやすい素材です」
ランゲラック「僕のパフォーマンスが若い世代の助けになっているのであればうれしいです。ナラさんがおっしゃったように、ひとつのアクションに対して3つ、4つ、5つくらいの要素があると思います。特に難しいのは判断の部分で、自分も学習している途中です。そのなかで、良いところがあれば参考にしてほしいですし、反対に悪いところも見てもらって、すべてから学んでほしいです」
楢﨑「こういった謙虚なところも含めて、本当にナイスガイ。プレーが良くて、見た目も良くて、それに奥さんも綺麗で、もう欠点がない!(笑)」