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「あっ、手が出た」 日本代表GK対談、西川周作の1本のセーブに楢﨑正剛が感じた変化

19歳GK鈴木が台頭する中で存在感、楢﨑氏「周作はとても逞しくなった」

西川「少し重心が低くなったというか、言い方を変えると以前はラクに構えていたんです。ここ数年はGKコーチと一緒にどっしりと構えることにチャレンジしています。ラクに構えるところと、このシーンのように角度がない時は重心を低くして、手と足のどちらでセーブするか判断を使い分けたいなと」

楢﨑「両方できるのがベストだし、場面によって使い分けることが大事だよね。でも今までの印象だと足がパッと出るのが僕の勝手なイメージ。そこが気になったんだけど、ちょっとマニアック過ぎたかな(笑)」

西川「いえいえ、さすがです(笑)。でもセーブした瞬間は頭の中が真っ白で、本当に無心でした」

楢﨑「シュートが来るまではいろいろ考えるけど、止めるときはそうだよね。それはしっかりトレーニングをこなしているからこそのプレーだと思う。日々のトレーニングがしっかり生きていて、そういった裏付けがあることを知ってもらいたい。いい感触で練習できているんじゃない?」

西川「最近は練習量を増やしていて、そのほうが動けている感覚もあります。試合翌日もリカバリーではなくトレーニングすることもありますし、そういった工夫もあって良いコンディションを保てています。

――西川選手は今年4月にJ1通算500試合出場を達成しました。一方で東京五輪メンバーにも選出されていた19歳の鈴木彩艶選手が台頭し、序盤戦は控えに回ることもありましたが再びポジションを奪い返し、浦和は8月中旬から9月末まで6勝1分と絶好調でした。

楢﨑「世論はどうしても新しいものを求めたくなるもの。鈴木選手のようなポテンシャルがあれば、試合に出場させて経験を積ませるべきという考え方もある。でも、そういった時にベテランが抗うというか、簡単に道を譲らないことで競争力が高まると思う。ポジションを奪われた時はどんな心境だったの?」

西川「一度リーグ戦の先発から外れて、それが6試合くらいあったんです。もちろん悔しさはありましたけど、ここで腐ったら自分は終わりだなと。GKコーチとマンツーマンでトレーニングする時間ができたことを前向きに考えて、必ずどこかでチャンスが来ることを信じながら準備していました」

楢﨑「現役の時から思っていたことだけど、試合に出ている選手と出ていない選手がいて、それぞれに対して指導方法は異なるということ。メンタル面のサポートも含めて、場面に合わせてどのようにアプローチしていくかが大切なんだよね。一度外れてから再びチャンスがめぐってきた時はプレッシャーを感じた?」

西川「正直に言うと、めちゃくちゃプレッシャーを感じていました(苦笑)。でも結果として2試合連続で完封して連勝できて、チームを勝たせる喜びや充実感を得ることができました。試合に出られなかった期間の練習や努力は無駄ではなかったと感じられました」

楢﨑「試合に出られなくなった時にどういった立ち居振る舞いをするかは選手にとって大きなテーマだと思う。もう一度存在感を見せつけるためのメンタルの強さやパワー、そして準備と求められるものは多いよね。周作はとても逞しくなったなと感じるよ」

西川「ナラさんに褒めていただけるのは本当にうれしいです」

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